聞きたい聞けないオッサン心 ページ6
美味しい、と綻ぶ無邪気を盗み見て、遠い記憶を馳せる。
駿河で過ごした、たった数日。手を引いたあの少女の面影を残すあどけなさと、少しばかり大人びた声音。
思えば、江戸に来てからの食事シーンはほぼ弟か妹が傍らにいるのがテンプレートで、こうして何か一つに熱心に食べ進めるのは初めてだと気がついた。
しゃくしゃくと減らないコーンフレークをかき混ぜ、銀時は考える。
あのころは、確か7歳とか言っていた。今は17歳。花盛りの全盛期だ。
だというのに色恋沙汰はない。人様の恋愛事情には闘牛のごとく首を突っ込む銀時だが、さすがに年下の女子には抵抗がある。
オッサンというだけだ忌避される存在なのだ。最近は神楽から加齢臭がするとクレームが来た。
オッサンは繊細なのだ。こう見えて。
「ん、つめたい」
「ひんやりして美味しいですね。夏とかいいかも」
「バッカ、腹壊すだろ。思い出せよ、去年スイカ丸呑みして腹下した女の末路」
「それ神楽ちゃんですよね。丸呑みっていうか、皮ごと食べてお腹壊しただけですけど」
「種まで食いやがって。腹からスイカの都市伝説信じてたらしいぜ」
「えっ、お腹からスイカ? そんなのあるんですか」
「えぇ、あるんです。種ごと食べると、お腹からスイカが生えてくるんだよって……だから食べないようにねって、そういう教えなんですよ」
「へぇー……」
「お前んとこはあれだな。種とかあったら裏庭に埋めるタイプだろ。んで毎日水やりして芽が出るの待つんだろ。ト○ロみてーによ」
「えっ、なんで知ってるんですか」
「当たりかよ!! スゲーよ、当てずっぽうで言ったら当たったよ!!! マジなの? 田舎ってなんでも庭に埋めるもんなの?」
「銀さん、その言い方するとヤバいやつも埋めそうな含みがあるんですけど」
「あぁ……そういえば、随分前になんかのケースが発掘されたんですよね」
「あるの!? マジで? なんかのヤバいブツが入ってたの!?」
「それが、中身が全部札束だったんですよ。調べてみたら、数年前に起こった銀行強盗の被害総額と一致したみたいで」
「ドラマじゃねーか!! マジかよ分け前とか貰ったんか!!」
「いや発見したの私じゃないですし……ちゃんと全額銀行に戻されたみたいです。遺失物の2割貰えるとか言いますけど、まず落とし物じゃなくて窃盗ですから」
「駿河すげぇ」
「あとは、カカシにやたら呪詛が書き込まれて埋められたって話もありますよ」
「昼になんつー話をしやがんだ!!」
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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年4月19日 13時