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今日から復帰、厨房の主 ページ39

さて、Aの有給休暇が終了した。

それまで冷蔵庫に入れてあったストックは当然無くなっており、お登勢をはじめとした従業員が交代で厨房に立っていた。さすがにたまのいなり寿司(としゃぶつ)はマズいと感じたのか、一人で消化していた。

が、やはりオッサンが求めているのは若くて可愛い女の子の手作りのツマミ。顔の濃い猫耳女や未だ現役の女帝よりも、幾分か柔らかな気分で飲めるというものだ。だってオッサンだもの。可愛くて年下の女の子と会うにはそれなりの大金を支払わなければならないのだ。

どこから情報が漏れたか不明だが、厨房にAが久方ぶりに立つという話を聞きつけた常連共はこぞってカウンターに座りたがり、暖簾の奥でぱたぱたと動き回る厨房担当にでれでれと顔を緩めていた。ついでに財布の紐も緩んでいくのを見逃さない女帝は、あれやこれやと酒を振る舞う。


「はい、お待ちどうさまです。ポテトサラダに、もろきゅうですね」

「久しぶりのAちゃんの手料理……!! 俺ァこれを楽しみに今日まで生きてきたんだ…!!」

「大げさですよ。どうぞ、ごゆっくり」

「ぉおーい、Aちゃァん。注文いいかい」

「はい、ただいま!!」


それにしてもよく動く。キャサリンやたまも同様にあちらこちらに呼ばれ、注文を引き受けては厨房の番人に伝票を投げる。『高イ酒頼メヨクソジジー』とは猫耳娘の悪態だ。

それを横目に、煙草をふかしてカウンターに立つはこの街の女帝。常連のオヤジたちをいなし、細く紫煙を吐く。


「お登勢さんよォ、あんなに可愛い子なんで表に出さなかったんだ? そら可愛くて掻っ攫われそうだがよォ」

「バカ言ってんじゃないよ。あの子はあれでも道場の師範代だ、手篭めにしようとしたテメーがひっくり返るのがオチさ」

「はぁー、そら大層な高嶺の花なこって。料理が美味ぇ、愛嬌もあるしってんで、こら男共が放っちゃおかねぇや」

「あたしの目が黒いうちにゃ、男の手垢なんざ付けたか無いがね」

「はは、そらおっかねえや。まだ棺桶に突っ込まれたかねえしな」


たまからの豪速球、もとい伝票を受け取ったAが内容を一瞥し、確かにと頷く。

厨房に引っ込めば、酔っ払いたちが大人しく料理に箸をつける。うめえ、うめえと男どもがやかましい。


「A様は、こちらのメニューには辛口のお酒が合うと」

「なにィ? まったくもう、商売がうめぇなぁ」

「オヤジニハコノ酒ガオ似合イデスヨ」

「いや高ッ!?」

久方ぶり、狂乱の貴公子→←なんやかんや言って上の子は下の子を可愛がる運命にある



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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年4月19日 13時

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