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子どもでも、ときに選ばなければならない道がある ページ37

「俺、が……?」

「うん。君が」

「……そ、っか」


ずびび、と洟をすするので、ティッシュを差し出すとブーッ!!といい音で洟をかんだ。もう3枚持っていかれた。


「孝太郎、沙苗。

あのね、駿河に戻るのはもうちょっとだけ、待って貰えないかな」

「姉ぢゃ、」

「そりゃね、今回のことがあって、戻ったらいいのかなって思ったんだ。まだみんな小さいし、一応私も未成年だし。みんなの目に届くところにいたらいいのかなって。その方が安全だし、今後同じようなことが起きても対処できるって……思ったんだ。

けどね、やっぱりお妙さんが言った通り、貯金を切り崩すだけじゃ生活はままならない。将来、みんなが色んなことができるくらいのお金を貯めたいし、道場の再興だってしたい。それができるのは、今のところ姉ちゃんだけなんだ。

でもそれって、姉ちゃんだけの都合なんだよね。みんなはまだ寺子屋に行く年齢だし、習ってることはいっぱいある。美菜は通い始めたばかりだし、来年くらいになったら沙代も行かなきゃならなくなる。

だからさ、考えたんだけど……」



Aが出した選択肢は、こうだ。

十分な金が貯まるまで、姉とともに江戸に留まるか。
もしくは、雪慈の両親である寺岡夫婦のもとに預かるか。

これまでと同じように、保護者がいない状況であればどうなるか分からない。であれば、姉がいる江戸にいるか。叔父、叔母夫妻のもとで安全な環境で暮らすか。どちらかが良いのではないかと考えた。


「姉ちゃんが駿河に戻って、そこで仕事を探すのも考えたよ。江戸(こっち)駿河(むこう)のお給金の違いも、働き口の多さも段違いなんだ。

これはあくまで、姉ちゃんが考えた選択肢。もしみんなが、他に考えがあるなら言って欲しい」


まだお家できてないしね、と苦笑いする。

口元を不器用に歪めた姉を、弟は涙に濡れた眼でじっと見つめた。

姉と離れたくない。駿河には戻りたい。けど、現実問題としてお金の話は切り離せない。

どうしたもんか、と俯くと、小さなあくびが静かな空気に割り込んだ。


「くあ……」

「沙代、おっきしたの?」

「んぅ……んー…」

「……ねえ、沙代。姉ちゃんと一緒にいたい?」

「や、沙苗姉ちゃん。何も起きてばっかのときに言わなくたって、」

「結構沙代も色々考えちゃうんだよ。こういう時に聞くのが一番いいんだって」

「……ねえ、ちゃん…?」

「そう、姉ちゃん」

「……んと、ねえ…」

なんやかんや言って上の子は下の子を可愛がる運命にある→←長男であるがゆえの責務なんぞクソ喰らえ



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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年4月19日 13時

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