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自分が思う以上に、周りの人は自分をよく見てるし知っているものだ ページ35

「けどね、沙苗ちゃんの言いたいことも分かるわ。

ずっとお姉ちゃんと一緒にいたのに、いない日が来るだなんて思わなかったでしょう?」

「……うん。

それに、姉ちゃんだって、色々やりたいこととか、いっぱいあったはずなのに。

何でもかんでも、私たちのためって言って、我慢する姉ちゃん、見たくないよ…」

「沙苗、お前な」

「兄ちゃんだって言ってたじゃん!! 姉ちゃん、同い年の女の子が遊んでるの羨ましそうにしてたって、新しい着物買ってもらって街に遊びに行って、なのに姉ちゃんは家のことばっかりだって!!」

「そういうのは言うなっつったろ!? 姉ちゃんが言った訳じゃねえし、俺たちが姉ちゃんの邪魔してるみたいな言い方したらもっと気にするって、」

「……孝太郎、あんたそんなこと考えてたの?」

「ぁ、えっ、と……」


誰よりも姉のそばにいた長男だ。両親が病気に伏せて、弟や妹たちが寺子屋に通えなくなりそうになっていても、姉はずっと笑って「大丈夫だよ」と自分たちを安心させてくれていた。そんな姿を、ずっと見てきたのだ。

たまに家の前を通り過ぎる同い年らしき女子たちはおろしたての着物を着て、お小遣いを貰って街に出かけていた。
その後ろ姿を見守る姉は年がら年中稽古着で、自分のためのお小遣いなどあるはずも無かった。

大黒柱として未成年ながらに働き、貯金を崩してやり取りして、服も繕って、買い物もセールや見切り品ばかり購入して、野菜は無駄がないようにと皮まで食べて、それすらも弟妹たちに譲って。

自分たちは、姉に守られていると信じて疑わなかった。

何かあれば助けてくれると、そう思い込んでいた。


ならば、姉は誰が助けてくれるのだろうか。

両親が亡くなって、一人で喪主を務めた姉の心境は如何程か。遠方の親戚は葬儀には来ても、慮ることは一切しなかった。お姉ちゃんなんだから頑張らなきゃね、と無責任に言葉を投げかけて。結局は面倒なことに手を出したくないくせに。

門下生として無理矢理連れてこられた従兄弟も、表面上では優しかったが敵を手引きする裏切り者だった。その親も、事が終わってから謝罪するのだから遅すぎる。


どう足掻いても、姉のためにはならない。自分たちがもっと、俺がもっとちゃんとしなきゃ、しっかりしなきゃ。

誰がいても、助けてはくれないのだから。

姉ちゃんのやりたいことも、好きなこともさせてあげられない自分が、不甲斐なくて仕方ない。


気づけば、手の甲は涙に濡れていた。

長男であるがゆえの責務なんぞクソ喰らえ→←正論は振りかざすな。叩きつけるな。理解をさせろ



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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年4月19日 13時

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