引っ越し一週間前でも荷物はまとまらないもんだ ページ30
それからしばらく。
有給休暇の期間も終わろうという頃に、講道館道場にお客が来た。
といっても、門をくぐって靴を脱ぐという正当な手順を忘れたゴリラなのだが。
「ここはいつからストーカー養成学校になったのかしら。侵入のカリキュラムに組み込まれたのならそれなりにギャランティが欲しいわ」
「
「まぁ、クセで門を潜らないだなんて忍の末裔かしら。どこぞのストーカー眼鏡女と一緒ね」
「あの、お妙さん。そのくらいで……」
「姉上、みんな怯えてますから…」
居間にて踏みつけにされているのは、言わずもがな近藤である。薙刀片手に般若の笑みを浮かべるお妙は今にも刃を向けそうで、どうどうと宥めているAと新八は大前姉弟を避難させていた。
話も進まないからと、帯刀させたまま卓袱台にお茶を置く。なぜか、お妙が淹れた茶は泥の色をしていたが。
というか、これ泥水ではないだろうか。底に砂のようなものも見える。
「それで、どういったご用件で……?」
「ああ、君たちの道場の件でな」
「もう再建したんですか!? 着工してそんなに日は経ってなかったと思うんですが……」
「いや、それはまだなんだ。取り壊しにする前に、まずは家具などの運び出しをということでな。業者を手配して、必要なものを全て出してもらったんだ」
「ああ……そういえば、まだ箪笥とかあったような…」
江戸には着の身着のまま来たので、日用品や寝具などはそのまま道場だ。母の嫁入り道具だという化粧台や父の肩身の掛け軸もそのままである。
全て運び出したはいいが、さすがにそれをそのまま江戸に持ってくる訳にはいかない。かといって、恒道館にも置けやしないだろう。
「それで、相談をと思ったんだ。真選組で預かる話もあったんだが、何せ大所帯な上に攘夷志士からの襲撃も少なくない。何かのはずみで壊れてしまっては、元も子もないだろう」
「貸倉庫もお金かかりますもんね」
「うちに置いておきたいけど、場所がねぇ…」
「………いや、ちょっと待ってください」
九兵衛の家か、万事屋は狭い、など色々考えていたが、Aの中でぴんと思いつく人物が思い浮かんだ。
程よく駿河に近く、かつ今回の話を聞き入れてくれそうな人物。
「近藤さん、荷物はそのままにしておいて下さい。今から、その人に連絡取ってみます」
「おお、もしや心当たりが!?」
「聞いてくれるかは分からないですけど……」
親戚の家に久しぶりに連絡取るとなぜか他人みたいに振る舞っちゃうよね→←「割り勘で」って言うとき、だいたい小銭足りなくて誰かが多めに支払う羽目になる
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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年4月19日 13時