スナックお登勢の厨房担当さん【坂田銀時】

疲弊した依頼 ページ27

妻の浮気を疑う男性からの依頼で、半日ほどかけて妻をマークした。これは銀時と新八が担当だ。

最近妻がとみに綺麗になった、と話す男性に『男でもできたんじゃねーの』と適当こいた銀時の発言を思い込んでしまったらしい。思い返せば心当たりがあるらしく、調査に至った訳だ。

結局、半日かけて分かったのはヨガ教室に通い始めたことと、友人女性に誘われてエステサロンに入ったこと。男性の影は一つも見当たらず、むしろ旦那のために綺麗になったのではないかと推測した。

これに関してはすぐに済んだが、問題は神楽と定春が担当した依頼だ。


足腰を痛めた高齢者が飼うペットの散歩をして欲しい、という依頼は多い。動物に慣れている神楽が引き受け、ペットが親しみやすいようにと定春も連れて元気いっぱいに依頼に出かけた。

正直、こうした依頼は数をこなしているため大丈夫だと思っていた。神楽自身も、新八も、銀時もそう考えた。


しかし、この油断がいけなかったらしい。

依頼主は腰を悪くした、高齢の女性だった。彼女が依頼を頼んだのは、最近拾ったという家猫の散歩。リードはちゃんと付けて、遠くへ行かないように配慮もして、一時間ほどで戻ってきて欲しいというものだった。

「任せるアル」と胸を張って定春と猫を連れた神楽は、一時間しても戻ってこなかった。

二時間、三時間と過ぎていき、さすがに心配になった依頼主は万事屋に連絡。ちょうど妻の調査報告のために事務所に戻っていた銀時が電話を取り、神楽が戻ってこないことを知った。

二人は依頼主の女性のもとに行くと、まだ神楽は戻ってきていないとのことだった。

手分けして探すか、と散らばるすんでのところで定春だけが帰ってきた。背中に家猫を背負って。

どうした定春、神楽はと問い詰めると、銀時と新八を背中に乗せてどこかへ走った。依頼主の女性は、愛猫が戻ってきて万事屋には目もくれなかった。


定春が連れてきたのは奉行所。何故？ と首を傾げているうちに門番に見つかり、オレンジ頭の女の子いませんかねと聞くと事情聴取を受けているとのこと。

何がどうしてそうなったんだと聞くと、以前依頼で報酬をほぼ持っていかれた宇宙生物(えいりあん)の猫が、子どもを産んでいたらしい。

本来なら入国管理局をはじめとした様々な機関に連れていくべきなのだが、正式な手続きを取ることもせずに悠々と散歩させていた娘を拘束したとのこと。

つまり、神楽はただのとばっちりに遭ってしまったのだ。

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