疲れたときこそ肉が食いたい ページ26
あちあち、はふはふ。
ごくごく、もぐもぐ。
わんぱくな咀嚼音とともにあっという間に空になる皿。ライスもスープもぺろりと平らげ、満足かと思えばまた何か頼もうとメニューを広げようとしている。待て待て、姉ちゃんが払うとは言ったが限度がある。
お金下ろそうかな、と財布の中身が心配になったところで入口の自動ドアから見慣れた眼鏡の青年が見えた。
「新八くん、こっち!!」
「あ、Aさん」
案内しようとしてくれた店員に会釈し、テーブルで合流する。
すでに食事後の風景にぎょっとするが、「まだ食べ始めたばかりなんです」というAの発言にも驚いた。
「新八さん、ここ座ってください。私のお隣」
「メニュー要りますよね。届きます？」
「美菜、新八さんにパスして」
「どおぞ」
「あ、うん。ありがとう……」
メニューを受け取り、ゆっくり開く。いつものバリエーションに加えて、新作と期間限定が出たようだ。ラム肉がどうとか、パエリアがなんだのとかあったが、小洒落たものより舌に慣れたものが食べたい。
とにかく疲弊した新八は、明日のことも考えて胃に優しいものにしようかと考えていた。卵雑炊やうどんなど、和食のページは彩りが優しい。
しかし、スタミナがあるものが食べたいのも事実。まだ16歳、まだまだ成長期で食べ盛りだ。普段は給料もろくに払わないプータロー社長のせいで財布の紐をギッチギチに締めているが、今日くらい頑張ったのだからいいだろうとご褒美をイメージしてしまう。
ちらり、とまだ熱が残る鉄板を眼鏡の奥底から一瞥する。
欠片も残っていない鉄板は、ほどよく脂の香りが残っている。ハンバーグだろうか、ライスの平皿やコーンスープの薄い黄色が残ったカップもある。
そういえば、同じく鉄板でグリルチキンもあった。ステーキとハンバーグのコンボもあったが、それはさすがに明日の胃と財布が怖い。
うんうん悩んだ結果、ポークステーキにした。もう肉が食べたかった。肉の残り香に囲まれて食べる卵雑炊の何がいいと言うのか。
さすがにバランスを考えてセットのサラダとライスも注文した。
「新八くん、今日ってどんな依頼だったんですか？」
「聞いてくださいよ……一つは以前から話を伺っていたうわ、素行調査なんですけど…もう一つが厄介で……」
さすがに年頃の子どもがいる前で『浮気』はマズいと思ったらしい。上手く言い回して、話を進める。
ちなみに、弟たちはほぼ聞いていなかった。
疲弊した依頼→←ファミレスってなんでファミレスって言うんだろ。友達と言ってもファミレスじゃん？
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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (
レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします！密かに応援しています！頑張ってください！面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます！ (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pillow | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月19日 13時
