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稽古終わりに食べるメシはこの世で何よりも美味い ページ24

その頃。

陽が傾く時間帯で帰路についた大前姉弟は、久しぶりの本格的な稽古で疲弊した身体に鞭打っていた。

末っ子は疲れて眠いのか、次女に手を引かれてゆったりしたスピードで歩いている。

甘味で満たされたはずの胃袋もすっかり空になり、腹の虫がぐぅぐぅ鳴いている。

このままだと道場に着く前に行き倒れになりそうだな、と考えたAの視界に入ったのは某ファミレスチェーン。

安い・美味いで知られるそこで、少しばかり胃を満たしてから帰ろうと決めた。


「みんな、あそこ入ろ」

「え? ば、バト……すげぇ戦ってそうな名前」

「なに、また稽古するのぉ……?」

「しないしない。ご飯食べて帰ろ」

「………ごはん」

「うん、ご飯。お妙さんは朝まで帰ってこないし、新八くんには私から連絡入れておくから」

「ごはん……たべる…」

「うん、沙代。目が開いてないよ」


店内に入り、ウェイトレスに人数を告げるとすぐにテーブル席を空けてくれた。おそらく、眠りかけている沙代への配慮だろう。

礼を告げて、ファミリー席に座る。沙代のためのチャイルドシートも持ってきてくれてありがたい。ファミレスなど田舎で滅多にお目にかかれないためか、長男や次男、次女はそわそわしていた。


「はい、これメニュー。好きなの食べて」

「えっ……え、いいの?」

「いいの。今日頑張ったから、姉ちゃん奢ったげる」

「えっ、えーっ……やった…」

「おれ、これがいい」

「あっ、じゃあ私これ!!」

「待っ、俺……どれにしたらいい!?」

「食べたいの選びなさいってば」


眠たそうにしている沙代にはドリンクバー、自分たちはハンバーグセットや鶏のグリル、サンデーにエビのサラダなど目に付いたものを食べたいと注文していた。

ちゃんと食べられる量にしなよ、と一応形だけは注意しておくが、成長期真っ只中で稽古終わりの弟や妹の胃袋が底なしであることは姉の自分がよく分かっている。なにせ、自分もかつて通った道であったから。

Aもエビグラタンを注文し、運ばれてくるまで電話を一本かけるため席を立った。現在依頼に赴いているであろう新八に夕飯の不要を伝えるためである。

一度店を出て、公衆電話から万事屋の番号をプッシュする。3コール目でガチャンと音がして、聞き慣れたチャイナ娘の声が聞こえた。


『こちら銀ちゃんアルヨー。今日は依頼もう要りませんヨー』

「あは、神楽ちゃん。お疲れ様」

『ホッ!? Aアルか!?』

「うん、そうだよ」

ファミレスってなんでファミレスって言うんだろ。友達と言ってもファミレスじゃん?→←大前流道場の成り立ち



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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年4月19日 13時

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