大前流道場の成り立ち ページ23
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。いい鍛錬になったよ」
柳生家の正門前。
大前姉弟を見送るため、九兵衛と柳生四天王が整列していた。門弟らは道場の後片付けだ。
「次は、今回の続きをやろう。僕も練習メニューを組んでおく」
「じゃあ、私も。うちでやっていた稽古内容があるので」
「うん。
それじゃあ、気をつけて。最近は暗くなるのが早いから、明るいうちに帰った方がいい」
「ありがとうございます。それでは」
ぺこりと一礼し、長く続く階段を降りていく。その背を見て、柳生四天王は黙礼した。
すっかり後ろ姿が見えなくなったところで踵を返すと、いつの間にか祖父がいた。不在にしていたはずの父も。
「おじい様……」
「客人は帰ったのか、九兵衛」
「はい。たった今」
「そうか」
うむ、と頷き踵を返す。小さい背中は縁側に座り、ずずっと茶を啜る。
父もサブイボを立たせながら、ペットのペルシャ猫を抱いていた。アレルギーで病院から抱くなと言われているのに。
「あの太刀筋、どこかで見たかと思うたが……駿河の出じゃと言うておったな」
「はい。剣術は父親から習ったと……」
「ならば、あの男の子どもで間違いなかろう」
「おじい様、Aちゃんたちのご両親をご存知なのですか?」
「うむ。
あやつらの父は、間違いなければ駿河でも指折りの剣豪として知られた男じゃ。攘夷戦争に参加し、幾人もの天人を葬ったと言われておる」
「では、元攘夷志士……」
「母親は分からんが、昔から柳生家が世話になっとる寺の娘と似た顔をしておった。あそこの娘は、いっときお前の母候補にも上がったがのう。気がつけば、家出して子どもこさえておったとは」
「僕の……?」
「正しくは、わしの妻候補だ。柳生家は代々将軍家への剣術指南役を務める名門。それなりの家柄、身元がはっきりしている娘でなければ嫁ぐことはできん」
「当時は戦争下にあったからの。柳生家と並ぶ名家ともなると、選別するのにもずっと時間はかかった。輿矩の嫁は、最終的にお前の母に決まったがのう」
かつて、父の嫁候補であったというAの母。
寺の娘であれば、それなりの教養はあると思うが、先ほどの話を聞けばとてもそうは思えなかった。
そもそも、死神を殴り飛ばすとまで言われた人物が柳生家に輿入れできるのだろうか。
「それに、あの娘は寺の娘といえどそれなりに暴れていたようじゃったのでな。ワシの判断で外したわい」
稽古終わりに食べるメシはこの世で何よりも美味い→←ご両親はどんな人ですかと聞く前にまず自分の親を誇れる人間になれ
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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年4月19日 13時