稽古後にひといき ページ20
「すみません、まさかそんなに時間経ってたなんて……」
「僕の方こそすまない。東城に止められるまでは分からなかった…」
稽古終了後、面と防具を外した二人が向かい合って謝罪していた。試合でかなり時間が押してしまったため、本来行うはずだったメニューが行えなくなったのだ。
次回あったら、と次の約束を取り付けた。それを聞いていた柳生一門の門下生が引き攣った顔をしたのは気のせいではない。
「皆さん、お疲れ様でした。冷たい飲み物とお菓子を用意してます」
「おかし!?」
「沙代、まずお着替えしてからね」
「はぁい!!」
「大前流派の皆さん、お着替えはそちらを曲がった部屋をお使いください。シャワーが必要であれば、北大路が案内します」
「ありがとうございます、東城さん」
「若の大切なご友人とご家族様ですから。何か足りないことなどありましたら、お申し付けください」
「はい。それじゃあ、有難く」
稽古着から普段着に着替え、さっと汗を流して戻った。
Aは普段着も道着なのだが、今回は他人様の宅にお邪魔するのでちょっといい着物を着た。沙苗は「懐かしい」とほころんだ。
「シャワーお借りしました」
「ああ、そこに座ってくれ。
どら焼きとカステラを用意したんだ。口に合うといいんだが……」
「どら焼き!?」
「カステラ……」
「沙代、美菜。よだれ垂れてるよ」
「孝太郎くんと龍之介くんは、甘いものが好きだったかな」
「あ、ハイ。好きです」
「同じく……」
「よかった」
縁側で菓子を食す九兵衛と大前家の末っ子たち。男子もどら焼きにかぶりつき、もごもごと咀嚼する。
ゆっくり茶を飲んでいると、気配が一つ増えた。ぱっとそちらを向くと、沙代とさほど背丈が変わらない老人がカステラを頬張っている。
気づかなかった。気配に聡いAでさえも咄嗟に判断できず、固まった。
「うむ、美味いの。わしゃもうちょっとチープな味が好きなんじゃが」
「どちら、さま……」
「おじい様、いつからいらしたんですか」
「九兵衛。うむ、つい先程な。若い衆の稽古をちょっと見学させてもろうたわい」
おじい様、とは。
吃驚して固まるAに向き合い、無表情でピースを向けた。
その人こそ、柳生家の先代当主にして歴代最強と謳われる剣豪。先代将軍の剣術指南役を務めた、柳生敏木斎である。
普段はどこから拾ってきたのか分からないゴミを集めたリヤカーを引いているが、さすがに客人の前では控えたらしい。
流派の由来? ボーカルとドラムの名前から適当に取りました。→←龍虎、激突す
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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年4月19日 13時