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打ち合いとは言うけれど結局は稽古の名を借りたケンカ ページ16

本格的な打ち合いは竹刀で行う。まず、柳生の門下生と指導者が見本を見せる。型に嵌ったお綺麗な所作だが、しっかりと打突ができている。さすが、将軍家に代々剣術指南を行うだけある。

打ち合いは実践を意識したものから、基礎の基礎を学ぶものまで様々だ。門下生はみな入門前に剣術の腕前は磨いたものの、中には我流の者もいるため基礎ができていないことがある。そうした部分を鍛え、きちんと打ち込めるようにするのだという。


「さて、次は君たちだ。誰か、行きたい人は?」

「おれ、行きます」


真っ先に手を挙げたのは、大前兄弟の中で一番の剣術小僧の龍之介だった。対して、柳生一門からは入門して二年目の若手が名乗り出た。

双方、防具をきっちりと付けて構える。背丈は向こうが頭ふたつ分高いが、龍之介にとっては当たり前のことだった。


「それでは打ち合い、はじめ!!!」

「ぉおおおおおおおっ!!!!」


気合いの発声で勢いづけて、若手の剣士が突っ込む。すかさず頭を狙って手元を上げたところに、龍之介の竹刀が打ち込んだ。

脇に狙いを定めた、刹那の袈裟斬り。剣士の左肩から右腰に流れた剣先は、鋭い打突音を響かせた。

え、と固まった体躯に体当たりし、間合いを取る。もたもたと竹刀を構えているうちに、今度は篭手に当たる部分への打突。その衝撃で構えがぶれ、真っ直ぐに額へ一撃が与えられた。


体勢を崩した若手剣士は、何が起こったのか分からずにきょどきょどと視線を巡らせ、転がった竹刀を見て青ざめた。後ろ手をつき、はっと顔を上げた先には、眼前に竹刀の先を突きつける龍之介の姿があった。


「そこまで!!」


どよめきが広がる柳生陣営に対し、大前家は静かだ。
身体の発達が未熟な次男は合気道ととてつもなく相性が悪く、一方で剣術はすぐに馴染んだ。

地元じゃ負け知らず、などという歌詞があるがまさにそれを体現したような小僧である。姉に一太刀も浴びせたことはないが。

寝ても醒めても剣術のことばかり考える剣術馬鹿。それがこの大前龍之介という人間だ。


次は、と名乗り出たのは次女の沙苗だ。相対するのは、入門して長くなる門下生。某流派の跡取りだ、と小さく聞こえる。

女子相手とて、手加減をするようなぬるい剣士はいないだろう。もしそんなことがあれば、舐められたも同然だ。


「それでは打ち合い、はじめ!!」

「キェーーーーーッ!!!!!」


間合いを詰めたのは跡取りだ。沙苗は臆することなく竹刀を構え、真っ直ぐ前を見据えた。

得意不得意は人によるけどやらない理由にならない→←いらっしゃいませ、柳生陳陰流



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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年4月19日 13時

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