柳生家へのお誘い ページ14
「それにしても、災難だったな。真選組の連中もそうだが、攘夷浪士に狙われるとは」
「自分の詰めの甘さを痛感しました……身内に一番の敵がいたなんて」
「そうだろうな。ましてや、勝てないからと僻みを理由にして幼い子どもを人質に取るなど、侍のすることじゃない。一度、柳生一門で根性を叩き直してやりたいくらいだ」
「それ生きて帰れますかね」
侍として、男として育てられた九兵衛からすれば、雪慈の行った非道は許されざる事案だろう。女に勝てないからと自分の努力のなさを棚にあげて、さぞAに非があるかのような言い分には腹が立った。
Aの剣術の腕は見たことがないが、立ち振る舞いでも分かる強者の雰囲気。所作一つ取っても、名のある剣豪と遜色無いのではないかと思わせる。そこに行き着くまでに、どれほどの研鑽が積まれたのかは言われずとも分かる。
「そうだ、今度うちに来ないか。妙ちゃんや新八くんと稽古に励むのもいいが、うちでもいい刺激になるんじゃないか？」
「いいんですか？ 柳生家って、由緒正しいお家柄じゃないと入門できないんじゃあ……」
「僕の友人と、そのご家族なんだ。誰にも文句は言わせないさ。
それに、その……友達を家に招くのに、理由は要らないだろう」
「九兵衛さん!!!」
「わっ! きゅ、急に危ない…」
「ありがとうございます……うぅ…」
「な、泣くほどじゃないだろう……」
胴に回された腕をさすり、朗らかに笑みを浮かべる九兵衛。よしよしと頭を撫でると、ぐりぐりと額を胸元に押し付けられた。
昔の九兵衛ならば、友人を家に招くことは無かっただろう。それどころか、お妙だけ足を踏み込ませて外部を遮断させていたかもしれない。友人ができたことも大きな一歩だが、その友と家族を招くとなるとかなりの進歩と言える。
「妙ちゃんや新八くんも招こう。弟君や妹君は、好きなお菓子などはあるだろうか？」
「えーっと……よく金平糖齧ってましたね」
「ふむ。アレルギーは？」
「無いですね。卵も大豆も蕎麦も蜂蜜もなんでも食べます」
「うん、ならば金平糖と、好きそうなお菓子を東城に用意させよう」
「ありがとうございます……」
「うん、うん」
縁側で戯れているAと九兵衛の後ろでは、稽古終わりの大前兄妹とお妙がひょっこり顔を覗かせていた。
暫し様子を見ていたが、視線に気づいた二人に見つかり追いかけられるのは数十分後の話。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 775人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (
レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします！密かに応援しています！頑張ってください！面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます！ (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：pillow | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月19日 13時
