大前姉弟in恒道館 ページ12
「姉上、ただいま戻りましたー」
「お邪魔しまーす……」
「新ちゃん、お帰りなさい。Aちゃんいらっしゃい」
「姉上、すみません。急に一人追加したいなんて言って」
「あら、平気よ。それより聞いて、ご近所さんからいっぱいお野菜をいただいたの。Aちゃんも、ぜひ食べてってね」
「ありがとうございます。すみません、手ぶらで来てしまって……」
「いいのよ。大体のことは新ちゃんから聞いたわ、大変だったでしょう。
皆も、Aちゃんが来るって楽しそうなのよ。みんなそわそわしちゃって」
そわそわ、というよりコソコソと言うべきではないか。お妙の背後でちらちら見える稽古着には見覚えがあり、長女は隠しきれてないなと苦笑した。
後から神楽ちゃんも来るわよ、とお妙が言うなり次女の跳ねた声が聞こえた。バレバレである。
歳の近い友人がいないことも無かったが、寺子屋をすぐにやめてしまったことやまだ歳幼い弟や妹の面倒を見ることになった次女に対して、少し申し訳なさを感じていた。それが、江戸に来て手を取り合う友ができたとは、お姉ちゃんとしては嬉しい限りである。
「姉ちゃん、おつかれさま」
「うん。美菜もお疲れ様。稽古頑張ってるね」
「姉ちゃん倒れたって聞いたんだけど、大丈夫？」
「全然平気。龍こそ、ちゃんと食べてる？」
「食べ……てる」
「うん、ちょっと痩せたね？ 袴の紐余ってる」
「姉ちゃん、今日泊まるの？ 泊まってくの？」
「あ、うーん……どうしよ…」
「泊まってってよー!! 朝稽古姉ちゃんとやりたい!!」
「沙苗、あんま姉ちゃん困らせんなって」
「兄ちゃんだって『姉ちゃん来ないかなー』ってよく言ってるじゃん!!」
「ばっ、おまっ!! 言うなって!!」
「ねえちゃん、みてみて。おりづるおったの!!」
「わ、綺麗に折れてる!! 沙代上達したね〜」
「んふふっ」
わちゃわちゃした大前姉弟にほっこりする志村姉弟。姉ちゃん姉ちゃんと関心を引かせたい弟や妹たちの健気なやり取りが可愛らしい。
お妙がご飯作るわねと厨房に行くと、一斉に引き止めにかかる門下生たち。彼女の料理の腕をいやというほど味わった彼らのファインプレーだ。弟もほっと胸を撫で下ろす。
今日は私が、と名乗り出たAに心配そうな顔をするお妙。働きすぎで倒れたのは彼女も知っていたが、何かしてないと落ち着かないと苦笑いするAにそれならばと厨房を貸した。
頂いた野菜の中から足が早いものが選ばれ、献立が決まった。
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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (
レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします！密かに応援しています！頑張ってください！面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます！ (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pillow | 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月19日 13時
