病み上がりに逃走犯の保護はやめましょう ページ33
「いやすまんな。ちと買い忘れを思い出して、真選組の連中に嗅ぎつけられてしまった」
「買い忘れって何。まさかトイレットペーパーのこと?」
「案ずるな、店先で山積みになっていたのでな。逃げざまに貰ってきた」
「あたかも無料みたいな言い方してるけどそれ窃盗。ちゃんとお金払ってきなよ、今ならまだ間に合うでしょ」
「この陸の孤島で俺を投げ出すというのか!! あの夜の俺との誓いはなんだったのだ!!」
「陸の孤島にしたの君。包囲されてる意味分かってる?」
玄関ではなく個室の窓から入ってきた桂は買い物一式を机に置くなり清水にシバかれた。
外は男の怒声が煩い。確実に近所迷惑。清水の身体にも悪影響しかない。
病み上がりに何をさせてるんだと怒りたいが、看病をしてくれた恩もある。さてどうしようかと思った矢先の窃盗。そもそも、トイレットペーパーは買い溜めしていたはずだが。
陸の孤島、もといチンピラに囲まれた清水宅の周辺には報道陣も集まっており、先ほどの女子アナも自宅の前でカメラに訴えかけていた。
その後ろ、家の前ではスピーカーを片手に怒鳴る真選組副長の姿もある。
大人しく出てこい、さもなくば破壊するとのことだ。だからチンピラ警察なんて言われるんだよ。
茶髪の隊士も、何やら黒光りする大砲を片手に構えている。
「ほら行ってきなって。君が行けば済むんだから」
「貴様、看病の恩を忘れたか!! すりりんごを作ったのは誰だと思っている!!」
「看病の前にウチの風呂勝手に入ったの君だろ。すりりんごってなに、それ僕知らないんだけど」
「ジュースがあっただろう、ほらァ!!」
「ああ、エリザベスさんが飲んでたやつ?」
「エリザベスゥ!?」
『桂ァ!! テメェがいるのは分かってる!! 大人しく投降しろ!! じゃなけりゃこの家ごとぶっ飛ばすぞ!!』
「こないだ権利移ったばっかなんだけどな……」
「自宅を破壊されたくはないだろう? 清水、共に行ってくれんか」
「夜中に厠行けない子どもかよ。もう、仕方ないな……」
よっこらせと立ち上がり、清水が持ってきたのは麻紐だった。古紙回収、新聞紙の廃品回収なんかのときに使うアレだ。
何をするのだと聞く桂の問いは無視し、その手首をぐるっと巻く。きつく結びつけた後、引っ立たせて玄関まで連れていく。
なんなんだと騒ぐ桂を横目に、引き戸を開けて指名手配犯をぽいっと放り投げた。そして閉めた。
「清水くぅぅぅん!?」
『確保ォ!!!』
同胞よ、安らかに眠れ。
関係者って言うほど信頼性はあんまりない→←黒服に追っかけられた愉快な桂さん
356人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うす - 更新ありがとうございます…!この作品が大好きです応援してます! (9月19日 22時) (レス) @page50 id: d6b5e366a4 (このIDを非表示/違反報告)
oyz031(プロフ) - とても面白く、興味深いお話で続きが気になります。応援しています (8月30日 0時) (レス) @page49 id: 7ddb3de917 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いつまでも更新お待ちしております、! (5月21日 18時) (レス) id: c35eeb83bd (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 最近めちゃくちゃ更新されてますね!すごく楽しみにしてるので嬉しいです!無理のない範囲でこれからもお願いします! (2023年4月22日 20時) (レス) id: 19052b8914 (このIDを非表示/違反報告)
モブ - ものすごくこの小説が大好きです!次の話に進むたびドキドキしてしまいます...!!! (2023年3月24日 2時) (レス) id: 24c7afdf4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月1日 15時