女が求めるのは経済力(一部除く) ページ17
最終日。
すっかり石灰が固まった三和土は玉のようにつるりとしており、弾丸の跡すら残らない仕上がりとなった。
流石に本職を呼んだりもしたが、その分いい仕上げになったと仮家主は満足げに頷く。
「あー、良かった。直るもんだねぇ」
「ま、手は抜かねぇんだわ。つーわけで清水、依頼料」
「はいはい、ちょっと待ってて」
縁側に腰掛ける万事屋一行を置いて一度引っ込み、戻ってきたときには三つの茶封筒が握られていた。
それぞれに名前が記名されているあたり、万事屋の惨状をよく知っていると見る。大抵はニート社長の懐に入り、競馬やら何やらで溶かされるのだ。その度に新八は姉に殴られ、神楽は階下のスナックにタカる。
渡された封筒の中身は思ったより厚く、ちらと覗くと万札が入っていた。軽く10枚以上。
「ヒッ!! し、しし清水さん!? これっ、あの、間違ってません!?」
「あれ、相場で計算したんだけど足りなかった?」
「いやいやいや、多いですって!! 大体、修理って言っても僕らほとんど弾取り除いたとか石灰で固めたとか、そんなことしかしてないんですよ!?」
「それがあっての仕上がりだよ。正式な依頼料だ」
「私こんなに貰っていいアルか!?」
「うん。君がああしたのは確かだけど、そうじゃなきゃあんなに綺麗になんなかったしねぇ。直すきっかけを作ってくれてありがとう、って感じかな」
「きゃっほーい!!」
「オイオイいいのかよ、いくら稼いでるからってこんなによォ」
「あんま外出ないし。使う機会も無いからさ」
「腐るほど余ってるってか。言ってみてぇよ、そんなセリフ」
「何に使えばいいのかホント分かんないや」
「そういうときはアレよ。馬見に行って金倍にすんだよ」
「競馬かよ……いやぁ、そういうのはあんまり。唯一できることとすれば、貯金かなぁ」
「カーッ、面白みねぇな。イッパツさぁ、当ててみろよ。マリンちゃんの微笑みは格別よ?」
「ああ、フラれてばっかだもんね」
「哀れみの目を向けんな!!」
「銀ちゃんが好かれるのはいつも変なヤツばっかアル」
「え、銀時くんに懸想する人っているの? 大丈夫?」
「何を心配してんだテメーは!! いいんですぅ、銀さんこれでもモテモテだからァ。生涯童貞のお前とは違うんでェ」
「童貞だろうがなんだろうが、まず所持金300円以下の30手前のおっさんに擦り寄るとか将来性破綻してるよ」
「お前だって30手前だろーが!! ナニ『自分はまだ若いです』みてーな顔してんだ!!」
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うす - 更新ありがとうございます…!この作品が大好きです応援してます! (9月19日 22時) (レス) @page50 id: d6b5e366a4 (このIDを非表示/違反報告)
oyz031(プロフ) - とても面白く、興味深いお話で続きが気になります。応援しています (8月30日 0時) (レス) @page49 id: 7ddb3de917 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いつまでも更新お待ちしております、! (5月21日 18時) (レス) id: c35eeb83bd (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 最近めちゃくちゃ更新されてますね!すごく楽しみにしてるので嬉しいです!無理のない範囲でこれからもお願いします! (2023年4月22日 20時) (レス) id: 19052b8914 (このIDを非表示/違反報告)
モブ - ものすごくこの小説が大好きです!次の話に進むたびドキドキしてしまいます...!!! (2023年3月24日 2時) (レス) id: 24c7afdf4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月1日 15時