こちとらいつでも本気で吐いて本気で戦ってんだ ページ39
「あいてて、ひでぇや。旦那の野郎ォ、手加減無しかよ」
「あんくれぇの方がやりがいがあらァ。大前の姉ちゃんも、まぁ手応えあったな」
「しっかしまァ、目の色変えちまってよ。Aちゃんが背中打った瞬間にアレだ」
「まぁ、可愛いもんなぁ。旦那のコレとは思えねぇが」
「17って聞いたぜ。俺の17ってあんなんじゃなかったな〜」
「バッカお前じゃ鍛え方が違わぁ」
どやどやと食堂に駆け込む隊士らが去った中、道場では師範代が横たわるそばでしゃがむ万事屋の背中があった。
強かに背を打ち付けてはいたものの、意識はあったらしい。だが、足首を捻ったのか容易に立てず仰向けになったまま転がっていた。
妹弟らは心配そうに見つめていたが、反応が返ってくるなりよかったと顔を綻ばせた。少し油断していたのだろう、まだまだだなと自分を叱咤した。
件の隊士の話は局長・副長ともに伝わっただろう。銀時が隊士全員を再起不能にさせるほど暴れたと聞いても、それに怒ったりはしなかった。
それどころか、局長自ら頭を下げる始末だ。荒くれ者が多いと分かっていて、油断したこちらの落ち度だと言うと何故か男泣きをされた。どうした?
まだ痛む背中と、捻った足首の熱を逃すためにひんやりした床に寝転がっている。神楽は稽古に顔を出しておらず、朝一番に食堂へと駆け込んだらしい。そのまま食い尽くせ、と銀時は心の中で命じた。新八は朝からストーカーに勤しむ局長をぶん殴ろうと部屋の前で張っていた。
「ったく、たかだかガキ相手にマジになんなってよ」
「やぁ、でも……負けたら嫌じゃないですか。やっぱり」
「怒ってもいいんだぜ?」
「怒るって許可制じゃないでしょう。いいんですよ、自分が未熟だって分かったから」
よいしょ、と起き上がり顔を顰めた。背骨を鳴らしてすっくと立つ。
以前としてしゃがんだままの銀時はそれを見上げる形になり、がりがりと天パを掻きむしった。
「オメーよ、我慢しなくたっていいんだぜ」
「え?」
「怒るってのは疲れっけどよ、大事なことよ? なんか嫌なことあって、腹立ててヤカンみてーにピーピー喚いて暴れ回んの。しゃあねぇな、で終わらせちゃあダメよ」
「……んん、」
「物分りのいい奴ってのぁ、飲み込むことが上手いけど吐き出すのがヘタクソなんだよ。俺を見てみろ、めちゃくちゃ色んなの吐き出してんだろ」
「それ掃除する身にもなってくださいね」
「だからよ、たまにはゲロっちまえや」
「……はい」
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時