白夜叉様は狐の化身? ページ33
「どうしたよ、嬢ちゃん」
「おぐし……」
「ん? これか?」
ちょいと銀髪を摘んでみせると、うんと頷く。やはり、珍しいのだろう。天人でもこう特徴的な髪色はそういまい。じぃ、と見つめられるとちょっと気恥しい。
「おぐし、きれいねぇ」
「おー、そうかい?」
「うん。しろきつねみたい」
「こら、沙代」
「いーのよ。白狐ねぇ、初めて言われたわ」
クソ天パだの白髪などと散々な言われようだったが、白狐はこれまでに無かった。ふわふわしてるところだろうか。いやそれも天パか?
「ごせんぞさまは、びゃっこさま?」
「んーや、違ぇよ?」
「そなの?」
「そーなの」
びゃっこさま、白狐様か。びゃっこ=白虎とイメージが結びつくが、おそらく彼女が言うのはお稲荷様のことだろう。古来の陰陽師の母や、神様の眷属として取り上げられている。そんな神々しく見えたのだろうか。
幼い見た目の割には、随分と旧いことを知っている。ぐりぐりと頭を撫でてやると、きゃーっとはしゃいだ。
そこへ、カゴを手にしたAが戻ってきた。カゴの中身が増えてやしないか。
「あれ、遊んでもらってたの?」
「ねえちゃん、おにぃさんのおぐし、びゃっこさまみたいなの!!」
「びゃっこ……ああ、お狐様? よく覚えてるねぇ」
「俺の頭、白狐だっつうんだよ。最近の若ぇもんの感性は変わってんな」
「神学とか儒教とか、そういうの好きなんです」
ね、と聞くと、うん!! と元気よく答えた。6歳にして神学や儒教に興味を持つとは。最近の子どもは家で人生ゲームをやるのが当たり前じゃないのかと、話を聞いていた遠くの新八は少なからずショックを受けた。多分、ああいう子どもはOweeのための待機列なんぞには並ばないだろう。
店をもう少し見ていくかと聞くと、三女が長女にくっつき何やら囁いていた。うん、うんと相槌を返し、うりうりとほっぺを摩っている。つられて新八や神楽、沙苗も入った。
三女の美菜は、あまり話さないのだろうか無口なことが多い。昨晩も早々に寝てしまったし、人見知りするタイプなのかもしれない。年下の扱いは難しいな、と童貞は頬を掻く。
雑貨店には様々なコーナーがひしめき合い、そのひとつに文の特集が組まれていた。筆や文鎮、紙に字のお手本などが所狭しと並んでいた。それに目を奪われ、ぴたりと美菜の足が止まった。
「どした?」
「……これ、欲しい」
「どれどれ……字の練習本?」
「うん……」
「よし、分かった。いいよ」
おねだりされたら財布の紐は緩む。それは自然の摂理→←いざ、江戸の町へ
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時