大前組、江戸在住決定 ページ17
「事情聴取が済んだら、駿河に返すつもりだ。だが、早々に返せるかどうか……」
「なんでしょう?」
気まずそうに頬をかく近藤を真っ直ぐ見返す。妹たちに視線を向けると、心当たりがあるのか何故か苦笑いを浮かべているばかりだ。
特に三女はどういう顔をしたらいいのか分からない、といった複雑な顔をしている。
「真選組が踏み込んで、ウチの連中がなかなか暴れたらしくてな。 そこかしこで斬り合いが起こっては壊したようで……」
「ああ……床、抜けましたか?」
「床どころか、壁もぶち抜いたらしい……」
「腐ってたもんなぁ……」
申し訳ない、と頭を下げる近藤に謝らないで下さいと慌てる。元々、道場はかなり老朽化が進んでいたため両親が健在な頃は建て替えの話が出ていたのだ。育児が落ち着いたら、と話を保留にしていたがその両親は鬼籍に入ってしまい、頓挫した。
出稼ぎの金が貯まったら、と考えていたが壊れたのであればもう一から建て直した方がいいかもしれない。
「修理の費用はこちらで出す。業者も手配する」
「いえ、そこまでしてもらうのは……」
「いーっていーって。甘えとけよ。コイツらが金出すなんざ滅多にねぇんだぜ? いっつも町どっか破壊しちゃそのまんまなんだしよォ」
「修理費もこっちが負担する羽目になりますもんね、いつも…」
「その節は、ウチの総悟が申し訳ない…」
「つーか働けマジで」
「いやお前に言われたくねぇよ、万事屋」
何やら言い合いが始まる前にお願いしますと頼んだ。できれば間取りは同じで、防空壕は残しておいて欲しいと言えば了承してくれた。
事情聴取期間は真選組で身柄を保護する形になるが、問題はその後だ。いつまでもむさ苦しい男所帯に置けないだろうという。
「あ、じゃあうちの道場はどうでしょう? 門下生が泊まるための部屋もありますから。
万事屋からもほど近いし、Aさんも様子見られますよね。稽古してもいいですし」
「ありがとう、新八くん……」
「あの、僕仏様じゃないんですけど。拝まれるのはちょっと」
「ならば頼んでもいいだろうか。明日にでもお妙さんに挨拶を……」
「いや、僕が話しとくんで」
「サナエとまた会えるアルか!?」
「神楽ちゃんといっぱいお喋りできるね!!」
「ねぇ、いつからそこは仲良くなったの?」
それから、合流した弟組に同様の話をしたところ分かりましたと了解してくれた。実家の改築は嬉しいらしい。
こうして、暫く真選組預かりとなった。
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時