銀髪と長男と次男と長女 ページ13
ちょうどよく席が空いたので、向かい合わせの形で銀時と座った。
そして、偶然というべきか先に食事を頂戴していた弟二人と隣に居合わせることとなる。
「孝太郎、龍之介」
「姉ちゃん!!」
「
「龍、飲み込んでから喋んなさいってば」
もごもごと小さな口いっぱいに頬張るのは次男の龍之介。まだ12歳であるが、道場でも指折りの剣士で常に剣のことで頭がいっぱいな彼はよく寝食を忘れてしまう。そんな弟が、こんなにもご飯を食べることがあっただろうか。姉ちゃん嬉しい。
一つ向こうで丼いっぱいに白米を盛っているのは、長男の孝太郎。身長もガタイも自分より大きく、合気道を得意とする。少し遅れた成長期なのか、15歳にしてはやたらと筋肉がついている気がする。
「姉ちゃん魚? 肉?」
「肉。孝太郎は?」
「俺、鯖」
「えっ、魚食べられるようになったの? 偉い!!」
「うぉぉああぁぉおお」
「魚の骨めんどくさいとか言ってたのに〜!! 偉いよ孝太郎!!」
「ちょっ、首もげるもげる」
龍之介の頭上でわしゃわしゃと撫でる手つきは荒々しいが、慈愛のこもった優しい手である。少し逆剥けができているが、スナックで裏方として働く彼女を知る銀時はふっと笑みを零した。
偉いよ偉いよと弟褒め殺しbotになりつつある姉を宥め、冷めるぞと急かした。
「姉ちゃん痩せた?」
「やっぱり? 沙苗にも言われた」
「ダイエット? それ以上どこの肉落とすの?」
「違うよ。むしろ筋肉落ちてちょっとへこんでる」
「もしかして、俺が姉ちゃんに勝てる日が来たりして!!」
「体幹鍛えてから言いなさい」
味噌汁を啜る姉にちぇと舌を出す長男坊。挟まれた次男はぱくぱくと定食を食べ尽くし、デザートのゼリーに手を伸ばした。
ふるふると揺れるぶどうゼリーが物珍しいのか、アロエや果肉が沈むそれにスプーンを差し込んですくい上げた。
そういえばゼリーなんて滅多に食べなかったな、と駿河を思い出す。寺子屋の食堂にはあったかもしれないが、早々に行かなくなったためもう記憶の彼方に飛んでしまっていた。
「龍之介、髪伸びたね」
「うん。また切ってくれる?」
「いいよ。そろそろ短くする?」
「姉ちゃんと揃いがいい」
「分かった。龍が気に入りそうな簪見つけたんだけど、要る?」
「欲しい」
「よしよし。お風呂上がったらね」
「やった」
長い髪は、姉がいつも手入れしてくれるから大好きなのだ。簪も姉との揃いである。
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時