能ある鷹は爪痕を残す ページ41
旧清水宅は、元々はそこに住んでいた家族が引っ越ししたのをきっかけに間借りする形で生活していた、というのが山崎の報告である。
そのため、清水の住民票はあれど明確な住所まで調べることはできず、結局は修理費のみ回収することができた。
「そうか」
「すまねぇ、近藤さん。今回ばかりは相手が悪かった。言い訳するつもりじゃねぇが、あの【天狩りの鷹】だ、俺達が踏み込むことも分かってただろう」
「いやぁ、トシが謝ることじゃねぇよ。
それと、その清水とやらが破壊した倉庫なんだがな……」
歯切れの悪い上司に眉をひそめ、どうしたんだと続きを促す。
実はな、と前置いて明かされたのは目眩がするような事実だった。
「プロペラが突っ込んだ倉庫は、表向きは輸入した物資だとあったが……
そいつらに、例の作物が粉末状になって隠されてたんだよ」
「てこたぁなんだ、ソイツもグルか」
「ああ。海外との取引はあったらしいが、そのほとんどが絵だの彫刻だのと、よく分からんものが多かった。江戸に新たな文化を、と言っていたがあくまでそれは建前に過ぎん。ゆくゆくは、例の作物を海外に広める算段だったのかもしれんな」
「隠し場所を増やしたってか。チッ、手柄ァ取られたな」
「倉庫の持ち主は一橋家老、棚橋家のご長男だ。今、礼状貰うようとっつぁんに掛け合ってる」
「悪ぃな、近藤さん」
「いいってことよ。しかしまぁ、水飴なんぞに従わされるとはとんでもねぇ野郎だな」
「万事屋んとこのガキ共も、その水飴にやられたらしいな。幸い、後遺症なんかは残らねぇそうだ」
「そうか、よかった」
ほっと胸を撫で下ろす辺り、万事屋への並々ならぬ信頼や友愛の感情が見え隠れしている。
新八は想い人の弟というオプションがあるが、チャイナ娘は蚊みたいな天人の騒動から何かと気にかけている。銀髪天然パーマは、なんというか一組織の頭という点では共通しているが、人の悪いところをズバズバ指摘するところを見るとまだ人間味がある。いや近藤さんがゴリラって訳ではなくて。
腐れ縁とも言えぬ仲だ、気にすることはあるだろう。
「それと、これは別件なんだが……」
「鬼兵隊か」
「ああ。奴らの姿が目撃されたらしいが、今度はまた何をするか分からん。紅桜や伊東先生のこともあるだろう、用心するようにと隊士達に通達したところだ」
「そうか……」
ところで近藤さん、と一つ断りを入れておく。
「なんで下履いてねえんだ」
「洗濯してます…」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時