鷹は高く飛ぶ ページ40
「助かった。じゃあな」
「情報料五割寄こせよ」
「図々しいわ。やらねぇよ」
湯呑みを空にして跡すら残さず去っていく真選組を見送り、冷や冷やした様子で新八が耳打ちする。
「銀さん、本当にいいんですか? 教えちゃって」
「あー? いいんだよ、大体ヘリぶっ壊したのアイツだし。あのまま黙ってたら代わりに俺らが賠償金請求される羽目になんぞ」
「そうかもしれないですけど……」
「ま、こうなるってこたぁ分かってただろ。じゃなけりゃ菓子折り持ってきたりしねぇよ」
「和菓子大明神は越後屋だったアルか。アイツもワルだったか」
「俺らに賠償金押し付けるような奴じゃねぇよ。バカみてぇに責任感強くて、イタズラにしろ勉強にしろ本気でやるような男だぜ?」
「勉強はともかく、イタズラはそんなイメージ全然なかったんですけど……」
「よく役人の袴落としたりとかしてたな。結び目解いたりしてよ」
「やるイタズラが小学生レベルなんですけど。女の子のスカートめくりと同じくらいタチ悪いな」
「ま、あいつからしちゃ『迷惑かけるだろうから先に謝るわ』的な? 先回りっつーの、ヘンにそういうの上手かったんだよな」
「へぇ…」
「おいぱっつぁん、茶ァ」
「茶あ」
「なんで僕が……はいはい、淹れますよ。ちょっと待っててください、お湯沸かし直しますから」
家政夫よろしく立って急須の茶葉を取り替える新八の後ろでゴロゴロと寝始める社長と紅一点。
つけっぱなしのテレビでは、ワイドショーに切り替わったニュースでアナウンサーが原稿を読んでいた。
『ニュースです。先ほど、過激攘夷派組織【鬼兵隊】と思しき戦艦が発見されたという情報が入ってきました。【鬼兵隊】は過去に、幾つもの事件を引き起こし将軍様のお命を狙うという___』
さて、真選組が向かった清水Aの住所には一人住めるかどうかの平屋があり、踏み込んだもののそこはすでにもぬけの殻だった。
居間には一筆したためられ、傍らに倉庫の修理費用と思しき札束が封筒に入れられていた。
『ジェンガは慎重にやらないと崩れるよ』
「誰の倉庫をジェンガ扱いしてやがんだ!!」
「こいつぁ驚いた、どこもかしこもすっからかん。人っ子一人いやせんぜ」
「探せ!! 器物損壊犯だ、頭下げさせるまでは逃がさねえぞ!!」
しかし、そこは元攘夷志士。いくら探しても発見されず、痕跡や持ち物なども全て無くなっていたため、足取りを掴むことは終ぞ叶わなくなってしまった。
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時