いらっしゃいませ税金泥棒 ページ38
後よろしく。確かにそう言った。
何かを託すような、というか丸投げするような。
ん? と引っ掛かりを覚えたが、おおまたなと玄関に向かう彼を見送り、そしていつの間にか消えてきた桂を気にすることなくダラダラと過ごした。
「……急に来て、急に帰りましたね」
「…そうだな」
「また来て欲しいアル。和菓子大明神」
「もうそれ決定事項なのな」
ちびちびと貧乏たらしく残しておいた羊羹をつついていると、ぴんぽんとまた呼び鈴が鳴った。
はいはい、と返事をして新八が玄関に向かうと、今度は見慣れた隊服姿が複数目に入った。
「あれ、山崎さん?」
「はは、どうも。新八君」
「よぉ。店主はいるか」
「ええ、いますけど……」
そこにいたのは、真選組の副長、監察、一番隊隊長という顔馴染みのトリオだった。局長はまた姉のストーカーだろうか。
上がらせてもらうぜ、とずかずか入る遠慮のなさはチンピラ警察そのものだ。呼び鈴を鳴らすあたり、まだ桂より礼儀はある。
「なんですかァ、税金泥棒が善良な市民になんか用かよ」
「善良な市民が攘夷志士とつるむか、しょっぴくぞオラ」
「なにヨ、どーせなら手土産でも持ってこいヨコノヤロー!!」
「生憎だがテメェにやる土産なんざ金が勿体ねぇ。犬猫にでも分けてもらいな」
「なんだとクソサドテメー!! やんのかゴルァ!!」
「ちょ、ちょっと待ってください!! なんなんですか? 依頼でしたらお話を聞きますよ」
「依頼、っつーモンたぁまた違ぇ」
どっかりとソファに座り、煙草に火をつける土方とその隣に座り飲みかけの茶を飲む沖田。新八は新たにお茶を用意し、さっき清水に出したお茶よりも少し薄いものを出した。
まだ傍らに立つ山崎の方が常識がある。
「先日捕縛した攘夷党の壊滅に、桂一派とテメーが関与してたってのは調べがついてる。ガキ共も、あの飴で捕らえられてたんだろ」
「ああ、はい。あの水飴ですよね」
「なんでェ、拾い食いでもしたんか」
「私がそんなことするわけねーダロ!! レディになんてこと言うアルか」
「おい、どこにレディがいやがんだ? 俺には雌豚が一匹喚いてるようにしか見えねぇぜ」
「やめろ総悟。
あの飴が製造されてた倉庫に踏み込んだ時にゃ浪士共はもう伸びてやがった。行方不明のガキ共は親元に返され、水飴も原料の作物も押収した。
が、問題はこれじゃねぇ」
はぁ、と紫煙を燻らせ灰を携帯灰皿に落とす。
フィルターを噛み、身を乗り出した。
「なんだよ」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時