お茶にしようか ページ32
「戻ったみたいで、よかったね」
「まぁ、な。おめーのおかげだよ、一割な」
「なにそれぇ、僕情報提供したんだよ?」
「ンなもんなくたって俺ァ知ってたわ。野生の勘的な」
「銀時くんの野生の勘って十割アテにならないでしょ」
「んだとコラ!! 銀さんの野生の勘舐めんなよ? 糖分レーダー搭載してっかんな!! 股間センサーなんてバリバリ現役だからな!!」
「ドラゴンレーダーより役に立たないじゃん。誰が得するのソレ」
軽口を叩き合う二人を交互に見る神楽と、それに苦笑する新八。
みんなで食べてと渡したものは、和菓子の詰め合わせだった。メインの羊羹はもちろん、かりんとう饅頭にきっちり並んだつやつやの団子、カステラに大福、おはぎと宝箱のようにぎっしり詰め込まれていた。値札は外されていたが、おそらく相当高いはず。
人数分切り分けた羊羹と、せめてものと少しお高めの緑茶缶を出してお茶を淹れた。玉露とか買えたらいいのにな、と思ったのは新八の心内に留めておく。
「お茶入りましたよ。よろしければどうぞ」
「あ、いいの? ありがとう」
「うぉお!! おまっ、コレ『鏡月堂』の羊羹じゃね!? よく買えたな!!」
「ふぉおお!! お高いやつアルか!! キラキラしてるヨ!!」
「それだけじゃないんですよ。他にも団子とか大福とか、もういっぱいあったんですから」
「嘘だろありがとうございます清水A様ァ!!」
「いっぱい食べるかなーと思って」
「この時点で腹いっぱいだわ!! マジありがてぇ」
「なら銀ちゃん、それ寄越すアル!!」
「ばっか貴重な糖分渡すかよ!!」
「ゆっくり食べなよ」
羊羹を渡せとねだる神楽の魔の手から逃れ、光沢が眩しい濃紫の甘味に先割れの木のフォークを入れる。小豆を完全に潰さず作られたというそれは、もはや黒に近い粒あんがぎっしりと詰められていた。
濃厚な味わいと滑らかな舌触り、粒が残る小豆は食感が変わって面白い。
さすが一本六千円。格が違う。万年貧乏の万事屋には滅多に手が出せない代物に、舌鼓を打つばかりだ。
「っっっ……めぇ」
「溜めたねぇ」
「美味いアル!! もっと!!!」
「ばっかお前、貴重なんだぞ!! もう少し味わって食えや!!」
「あんなの、チマチマ食べてたら味分かんないアル」
「だーっ、これだから貧乏舌は…」
「んはは、次はもうちょっとおっきいの買ってくるね」
「ホントアルか!? 約束ヨ、和菓子大明神!!」
「え、それ僕のこと?」
「頼んだぞ、財布」
「銀時くん?」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時