攘夷と天人 ページ18
沖田の言う話は、先ほどアゴ美から聞いた話に関連していた。
最近ここらで飴を配り歩いている男を知らないか、と。
なんでだと聞くと、今追っている攘夷党と繋がりがあるらしい。
「アジャスターがなんかしたの」
「そこの幹部らしいんでさァ。今ザキが
「へーぇ。んで?それだけじゃねぇんだろ」
「そこの攘夷党が、とある幕府のお偉方といたく懇意にしてるそうで。高給取りのくせに小遣い稼ぎしやがる、けったいなジジイがいやがんでィ」
「それさァ、男にも女にもなれるってやつ?」
「知ってんで?」
「さっき聞いたばっかだわ。うわー、マジかァ。聞かなきゃよかった」
件のお偉方というのは、若年寄の鶴森齋元という男だがそれはあくまで表の顔である。
鶴森は江戸に来た際、それまで用いていた名前だと聞き取りづらいと言われたらしく、新しく名を自分に付けたのだという。
どこの闇の帝王だよ、と内心つっこんだ。
「聞けば、奴さんの生まれた星じゃあ男だの女だのっつー概念はねぇっつうもんで、どっちもなれたんで随分と人口が多いって話でさァ。他の天人は基本的に性別が分かれてるもんで、興味を持ったらしい」
「生まれながらにして少年少女の心を持ち合わせてるってワケか。楽しみ増えそうだな」
「それが、そうもいかないらしく」
「あ? んだ、どういうこった」
「奴らは両方の性別を有している代わりに生存能力がえげつなく低いんでさァ。さっき『人口が多い』って話しやしたでしょう。生まれる数はバカみてぇに多いが、成長期を迎える前におっちんじまうのがほとんどだっつーことで」
「セミか。なんだ、ひと夏にしか生きられねぇってのか。世知辛ぇな」
「つーことは、ですぜ。大人になるってのがほぼ居ねぇ中であいつはそこそこの歳食ってきやした。で、あいつらん中での年寄りっつーのは、せいぜい三十代前半を指すらしいんで、五十だの六十だのっつーのは、もはや長寿に近ェ」
「……オイ、それって」
「最近ここらでいなくなってるガキが、将来どこでナニされるやら…」
沖田も知っていたのだ。江戸中で起きている連続子ども失踪事件について。
紙芝居師の正体、幹部を務める攘夷党、献金疑惑の幕府の重鎮、そして長生きできない性質。
「あぁ、そうだ。旦那、知ってやすかい」
「……ンだよ」
「ガキ共が貰ってたっつぅ飴にゃ、ある星の作物が使われてやす。
それにゃ、アタリがあるそうで」
147人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時