スナックお登勢の新人さん【坂田銀時】

一斉捕縛 ページ42

『臨時ニュースです。江戸に蔓延している違法麻薬、玄楽郷の売人及び茶器茶器星(ちゃきちゃきせい)大使が先ほど、逃亡先の寺院にて逮捕されたと発表がありました。現場に結野アナがいます、結野アナ!!』

『はい、こちら現場の結野です。

見えますでしょうか、こちら激しい攻防の跡が残されています。こちらの寺院にお務めの住職の方にお伺いしましたところ、玄楽郷を酒に溶かして他の寺院に分配し、新たに江戸に持ち込もうとしてたといいます。寺院ではお清めの際に、日本酒を使うことから……』


「これって、」

「銀ちゃんと新八が今日行ったとこアル!!」


『スナックお登勢』のカウンターにて、昼飯をかっこんだ神楽は驚きのあまり米粒を飛ばし、お登勢はぽろっと煙草の灰を落とした。

石畳が爪痕のように抉れ、横たわる顔色の悪い天人や地球人がカメラの向こうに映っている。

ひら、と見えた流水紋の裾にがたん!! と立ち上がる神楽だが、お登勢にばしんと頭をしばかれ渋々椅子に座った。

カメラマンが向いた先には、大きなダンボールが積まれたトラックがあり、それの中身が全て麻薬入りの酒だという。


『住職の方は、大使や売人に脅迫される形で彼らの違法滞在を黙認していたようです。これを受けて、警察はこちらを含めた江戸周辺の寺院への調査を進めていくとのことです。

以上、現場の結野でした』


「銀ちゃん、新八……」

「心配いらんよ。これまでもしぶとく生きてきた奴らじゃないか。

これじゃあ今月の家賃どころかテメーらの食費も賄えそうにないね」

「銀ちゃん!! おカネぶんどってくるアルヨー!!! このままじゃずっと豆パン生活アル!!」

「今もさして変わらねーだろうが。豆パンどころかパンの耳すら貰えてねーんだからジリ貧もいい所だね」

「うぅ、お腹空くアル……」

「炊飯器かき込んで言うセリフじゃねーよ!!」


その日の夕方、大した傷を負うことなく二人は帰ってきた。

相手取った天人や売人は、拳銃を持ってはいたものの扱いに慣れておらず、あくまで脅しの道具として使っていたらしい。

銃口は向けられたものの、木刀で一掃すればただの腰抜けだ。新八も慣れない中応戦し、一斉に捕縛するに至ったという。

住職が真選組に連絡を入れ、かち合う前にトンズラこいたとケラケラ笑いながら茶を煽った。


「しっかし、よく分かったもんだねぇ」

「銀さんが、お酒が日本酒じゃなくて洋酒だって気づいたんです」

「水があんな重てぇ動きすっかよ」

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