昼間も働く果報者 ページ38
2週間という短くも長い期間、お水の商売で生計を立てている者たちは昼間の仕事でなんとか食い繋いでいた。
出稼ぎ組のキャサリンは地元の友人のツテで、Aはお登勢の紹介で雑貨屋の針子として働いているという。常にフル活動しているたまは、これを機に少し長めのメンテナンスを行うことになり『スナックお登勢』は少しだけ静かになっている。
ババア一人じゃ寂しかろう、と憎まれ口を叩きながら万事屋一行は一飯の恩に預かろうと今日も今日とてタダ飯を食らいに来ていた。
「その調子じゃ、今月の給料も見込みが無さそうだね」
「でも、さっき依頼の電話が来たんです。明日、先方に行くことになって」
「そうなのかい? よかったじゃないか、しばらくは豆パン以外にありつけそうで」
「物運びだってよ。郵便じゃあ受け取ってくれねえっつーもんで、俺たちに頼んできやがった。引っ越し業者じゃねぇっつーんだよ」
「私も行きたかったアル」
「なんだい、神楽は留守番かィ?」
「男手が欲しいっていうもんで。神楽ちゃんは僕たちよりも力があるし、重いものも運べますよって言ったんですけどね」
「どうやら女子禁制らしいぜ。出てきたのも男だったしよ」
「へぇ、そうかい」
江戸の外れにある寺院やら、尼寺なんかは男子禁制だの女子禁制だのとしきたりが厳しいところがある。今回の依頼主もそうした一員だろうと、これからの経験から万事屋店主は言う。
「気をつけなよ。例の薬品、まだ出回ってるかもしれないんだからさ。もしかしたら、片棒担がれちまうなんてこともあるかもしれないんだから」
「げぇ、テンション下がるようなコメントやめろよババア。ただでさえ依頼がねぇっつうのに、選んでられねぇんだよ」
「ニュースではあまり大々的に取り上げられてないですけど、一旦は収束したらしいですよね。この調子だと、2週間待たないうちに休業要請解除がなされるんじゃないかって」
「そうなったらいいんだけどねぇ。こっちも客商売やってんだ、ジジイ共の憩いの場がなくなりゃこっちだって活気がなくならぁ」
「活気どころか活字も書けねぇババアがなんか言ってやがんな」
「書けるし読めるわこの野郎!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐカウンターの向こうで、テレビに映るアナウンサーが江戸を戦略せんとする未知の薬についてカンペを読んでいた。
『現在、江戸で拡大している玄楽郷の被害は収まりつつあります。しかし、その出処は一行に掴める様子がありません_____』
ご依頼です→←苗字だけ呼んでると下の名前分からなくなるってあるよね
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柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ😭 (4月7日 21時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 原作を守りつつ良い感じにキャラと関わる位置にいる感じ!言いたいこと分かりますかね? (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
わか - こういう設定好きです!!キャラとのほどよい距離感というか、食堂で働いてます!とか、保健室の先生です!とか、 (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
ユユユ - めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしてます!無理せず頑張って下さい! (2021年2月7日 12時) (レス) id: 2ebf8b6b93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月29日 17時