苗字だけ呼んでると下の名前分からなくなるってあるよね ページ37
手を洗って消毒を済ませて戻ると、何やらにやにやしながらこちらを向く万事屋の子どもたちがいた。
なんだろうと首を傾げると、ちょいちょいと手招きされる。
釣られるまま寄ると、神楽の隣に座らせられた。
「ねぇねぇ、私のこと呼んでヨ」
「ん? 神楽ちゃん?」
「僕も呼んでみて下さい」
「新八くん」
「……俺は」
「坂田さん」
「なんっでだよ!! なんで俺だけ坂田さん? そんなに関わりなかった? あったよな、あったよね?」
「あり……ましたね」
「だよな!? 水曜に古紙回収出すっつってジャンプ出したりとか、神楽迎えに行ったときとかさぁ!! なんか俺だけ他人行儀じゃね!?」
「はぁ……」
つまりアレか。苗字呼びなのが嫌なのだろうか。
相手は年上だし、できれば距離を取った方がいいんじゃないかと線引きをしたのが裏目に出たか。
「心配すんなヨ。銀ちゃんは一人だけ仲間外れにされてるのが寂しーだけアル」
「誰がだ!! 別に寂しくなんてないんだからね、新八と神楽はお前と歳近いし名前呼びしてババアも団地妻も機械娘も名前呼びで俺だけビミョーに距離あるとか思ってないからね!!」
「いや、めちゃくちゃ気にしてんじゃないスか」
「なァんかこう、距離遠いっつーかさぁ。こないだウチ来た時だって、結局神楽と酢昆布食って終わっただろうが。定春に噛まれねぇとか羨ましいぜコノヤロー」
「最終的には飼い犬に懐かれない飼い主の愚痴になっちゃってますけど」
「……つまり、お名前で呼んで欲しい、と?」
「ま、まぁお前が呼びてーなら? そうすりゃいいんじゃねーの? 俺ァ全然いいけど、なんなら今までみたいなのでもいいけど」
「じゃあ坂田さんで」
「だからなんでだよ!! 話聞いてたかオメー!!」
「くっ……ふ、っごめんなさい、からかってみました」
「だっ……」
眦を細くして、口元を手で覆うようにして笑うAが珍しく、マヌケ面を晒す精神年齢5歳の大人。
くふ、と独特な笑い方がしばらくして止み、じゃあと仕切り直された。
「お名前、ですよね」
「さっきみたく呼ぶんじゃねーぞ」
「はい、はい」
「……つか、お前俺の名前覚えてんの?」
「覚えてますよ。銀時さん」
「……もっ、かい」
「銀時さん。あれ、間違ってました?」
「や、間違ってねえけど」
「あぁ、よかった。
それじゃあ、改めて。銀時さんとお呼びしますね」
これまでは、銀さんだの銀ちゃんだの呼ばれたが
「……これは…」
クる、ものがある。
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柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ😭 (4月7日 21時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 原作を守りつつ良い感じにキャラと関わる位置にいる感じ!言いたいこと分かりますかね? (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
わか - こういう設定好きです!!キャラとのほどよい距離感というか、食堂で働いてます!とか、保健室の先生です!とか、 (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
ユユユ - めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしてます!無理せず頑張って下さい! (2021年2月7日 12時) (レス) id: 2ebf8b6b93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月29日 17時