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かぶき町と玄楽郷 ページ34

かぶき町は夜の歓楽街と称されることもあって、酒類の提供は多い。

『玄楽郷』の成分がアルコールに反応するとなれば、かぶき町に出入りする人間で被害が拡大していると思われてもおかしくない。

かぶき町の他にも、吉原桃源郷や桜田門などおいそれと出入りできない場所もある。そうした場所で被害が確認されていないのは、ただ単純に酒の提供が少ないからか、あるいはまだそこまで魔の手が及んでないのか。

何はともあれ、このままではかぶき町全体に『玄楽郷』が蔓延していると判断されてしまい、最悪の場合隔離されてしまう。

いつぞや遭遇したマユゾンの脅威を思い出し、ぶるりと武者震いする。


「あ? 待てよ。酒に反応して化けもんみたくなるって言うんなら、酒飲まなかったらいい話じゃね?」

「それがそうもいかんのだ。言っただろう、『玄楽郷』は『転生郷』よりも数倍高い依存性の代物。長く摂取していなければ禁断症状が出始める。
つまりだ、長期間摂取していれば症状は出ない。しかし、『玄楽郷』に手を出すことができなくなった場合は廃人となる。今はまだその症状が出ていないだけだ」

「はーん、そういうことか……で、その症状ってのはどんなんなの」

「アルコールを摂取したときとあまり変わらないそうだ。だが、筋肉の増強はないという」

「ふーん……」

「感染のリスクも考えて、こちらも慎重に動いている。銀時、もしお前も見つけたらすぐさま俺に知らせろ」

「知らせろたって、対抗手段ねえんだろ? どうやって叩き潰すっつーんだよ」

「奴らの根城を明かし、根本から叩く。それしかあるまい」

「おいおい、正気か? アイツら江戸にいる訳じゃねぇんだろ?」

「様々な見解を以て調べている。幕府に手を貸すようで癪だが、江戸を破壊せんとする輩を放っておくほど俺は呑気ではない」


茶を飲み干し、刀を携え窓を開ける。いつの間にか草履が握られており、ではなと飛び降りた。


「……ここ、2階なんだけど」


桂が先程まで持っていた湯呑みを流しに放り込み、水につけておいた。

こういうとき、新八がいたらなと思う。


「そういや、どこ行ったんだっけ」


確か、親衛隊の決起集会ではなかっただろうか。

フラグ立てることすんなよ、とぼやきながら社長机に投げられたジャンプを手に取り、最初のページから読み直すことにした。


かぶき町はしょっちゅう狙われることがある町だ。だが、生きている町人たちはものともしない。

俺もそうか、と少し笑った。

一時閉鎖なかぶき町→←江戸に蔓延る薬



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柏餅(プロフ) - 神すぎますゥゥゥ😭 (4月7日 21時) (レス) @page50 id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 原作を守りつつ良い感じにキャラと関わる位置にいる感じ!言いたいこと分かりますかね? (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
わか - こういう設定好きです!!キャラとのほどよい距離感というか、食堂で働いてます!とか、保健室の先生です!とか、 (2021年7月31日 19時) (レス) id: 44294a6bf9 (このIDを非表示/違反報告)
ユユユ - めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしてます!無理せず頑張って下さい! (2021年2月7日 12時) (レス) id: 2ebf8b6b93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年1月29日 17時

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