甘いお城の中で (ページ11)

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番外編 God is a human being. ページ11

昔々あるところに、２０人の王達がいた。

王たちはある巨大な王国を滅ぼし、世界世界を

作り出した。その末裔を天竜人と言った。

天竜人の祖先に誰も逆らわなくなった。

誰も楯突くものは現れなかった。

だがある時、その者たちに反抗する者がいた。

それは、大きな角を生やした美しい竜だった。

不思議と周りからは水泡が浮かび、きらきらと

光る水の癒しを振り撒いていた。

歩いた足跡からは湖が生まれ、触れた植物に

脆い生命を吹き込んだ。

竜は世界に木霊する麗らかな水音で喋った。

＿全ての生き物はみな平等だ＿＿＿

＿＿＿＿命という概念を大切にすべきだ＿＿＿

竜は″それ゛を繰り返した。

だが天竜人の祖先は聞く耳を持たなかった。

天竜人の祖先と、祖竜の血族は元々、対立して

いた。世界の概念を作り出した竜は、神であり

ながら孤立していた。

人間は清い竜に近づくことはなかった。

天竜人の祖先は竜を追放しようとした。

この世界から消してしまおうと、様々な手を

使って竜を貶めようとした。

だがすべて失敗に終わり、結局竜は

抵抗の余地もなく力ずくで聖地から落とされた

地上に降り立った竜は、何もない地をひたすら

歩いていた。ただ空を見上げ、あの美しい聖地

を思い出していた、その時

一人の少女が木の影から姿を表した

不思議な少女だった。小さめの向日葵と同じ

背丈の、小さな少女。大人の女より明らかに

小さかった。…竜は、少女と一緒にいるように

なった。

少女「…貴方は、ずっと一人でいるつもり？」

竜「＿＿わからない＿＿＿＿＿」

少女「…そう、私もよ。」

少女「…じゃあ、二人でいるのはどう？」

竜「………」

それから、少女は腹が膨らみ、体を壊すことが

たびたびあった。人間でいう所の″行為″をする

ことなく、純粋に愛しあった末に生命を産み出

した。その子供は人間の見た目をしていた。

大切に、大切に育てられた。

ある日、少女は歩けなくなった。手はボロボロ

で、髪は白く、腰は曲がっていた。そこで初め

て人間は年をとるということに竜は気づいた。

少女は静かに息を引き取った。

＿＿＿＿子供は年をとらなかった。

ある時代、人類が増え始めていた。

子供の近くにも、人間は増えた。

子供はある人間と恋をした。

子供は広く何もない地に、フィンブルという

名をつけた。

God is a human being.

(神は人間である。)