【wrwrd!】間蝶の君 (ページ8)

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Book 0106 漁夫ページ8

「やだなあ何もしてませんよ、ちょっとからかったぐらいで。」

「お前それがあかん言うとるやろ！」

部屋に入った瞬間彼ら二人による口論が始まってしまった。彼女はどうしようとオロオロするが、どうしようもなく立ち尽くすしかなかった。

しかし、彼女は救世主を見つける。全体的に白い格好をし、バツが着いたマスクをつけた男。彼が手招きをしていた。

「こっちこっち。」

その優しそうな眼差しに、彼ら二人のところを離れ彼のところに行くことにした。彼の所に行って本を預かってもらう。

「ありがとうございます、助けていただいて。」

「いいよ気にしなくて。あいつらいつもあんな事してるから。あの二人だけじゃなくて幹部全員。」

口ぶりからして幹部だろう。しかし彼女はこの人の名前も知らなかった。

「すいません、失礼ですがお名前を伺っても？」

「うん、俺の名前はひとらんらん。ひとらんとからんらんとか、どう呼んでくれてもいいよ。」

優しげに微笑みを浮かべる彼は彼女の無礼にも寛容に答えていた。それどころかなんとなく楽しそうであった。

「それではひとらん様、あの御二方は収めなくてよろしいのでしょうか？」

「うん、いいのいいの。久しぶりのお客さんだし、俺もうちょっとAちゃんと話してたい。」

彼女は首を傾げた。久しぶりのお客さん？ここには頻繁に人が出入りしているわけではないのだろうか。

「あ、そうだったね。実は総統以外の幹部は存在以外は秘匿とされていてね。俺らは仕事して遊んでしてるだけであんまり外部の人と話さないんだ。」

衝撃だった。そんなこと軍学校では言われなかった、そう言うとまあ秘密は秘密にしてることも言わないものだしと軽く流された。

「ホントは軍の人たちには伝えてもいいと思うんだけど、軍学校はゾムが運営してるしその裁量かな。」

「ぞむ...？」

「まあ俺らに関わってたらそのうち会うことになるんじゃないかな？」

それだけ言い終わると、ひとらんらんは未だ言い争っている2人の元に向かった。

「先輩〜、やっぱ一目惚れしちゃったんですよね〜？」

「ちゃうわ！」

「じゃあAさんが可愛くないんですか〜？」

「それは...。」

言い争いというかチーノに一方的にロボロが言いくるめられている光景に終止符を打ったのはひとらんらんだった。

「はいはい、2人とも静まって。2人があの子を気に入ったってことはわかったから。」

「「ちゃうわ！/ちゃいます！」」

前言撤回、戦火は広がった。