昼のカオと夜のカオ 【江口拓也】

雨 ページ49

江口side









*









｢うわっ、雨降ってる。最悪……。｣









*









　









スタジオの休憩中、廊下の窓から気晴らしに外を覗いたら天気予報にはのっていなかった雨。

結構激しくて、窓に打ち付ける雨はまるで滝のように流れていく。

雨が降るとだと空気が変わるって言うか、なんか重く感じる。








…そーいや、洗濯物出したままじゃん。

まぁ、家にいるAがしまってくれているとは思うが。






でも、天気予報が外れるなんてめずらしい。

お陰さまで今日は傘を持っていない。

通り雨だろうし、収録が終わるころには止むとは思う。









が、収録が終わっても止まることのない雨。


今から帰る、と連絡する。

家にいると思ったから、すぐに返信が来ると思ったが既読がつかない。





ふと、思い返すのは昨日のこと。

……素面で好きだ、と言ってくれた。

これがどんなに嬉しいことか。

思い出すだけで顔がにやける。

　









*









雨なのに、家に帰る足取りは少し軽かった。

雨なんて関係ないように感じた。

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