. ページ26
Side.izw
昨夜、須貝さんに連れられて行ったバーで知り合ったAさん。
とても綺麗で、ひと目見て惹かれた俺は強引に番号を教えたものの、その夜は遅くと言うこともあり反応がなかったことを残念に思いながら眠りについたのだった。
翌朝、目が覚めて寝起きの悪い俺がまず携帯の通知を見るが、ニュースやYouTubeの通知ばかりでやはりAさんからの連絡はない。…やっぱり連絡先を直接聞いておけばよかった。そうすればこうやって連絡がないことにやきもきしなかったし、自分から主導的に話を進めることも出来たのに…。
そう思うと昔の人はすごい。後悔先に立たずとはよく言うもので本当に後になってからしか感じれない気持ちだ。
「はぁ〜、聞いときゃよかった。…仕事行きたくねぇ。」
こんな連絡一つでモチベーションが下がる自分にも驚きだが、仕事はこなさなくてはいけない。
嫌がる体を起こして朝のルーティンをこなす。
今日は、会社に顔を出してから収録があるから帰るのは遅いだろうな。
土曜だからといって社長業や芸能活動が休みになることはない。…社長業といえばAさんは社長秘書してるって言ってたな。
あんな綺麗な秘書を持てる社長さんは羨ましいな。なんて思いながら着替えを済ませて出勤の準備をする。
須貝さんと同じ京都の人とは聞いたけどやっぱり関西の人は人懐っこいと言うか、馴染みやすいと言うか。そんな人柄の人が多いんだな。…もしかしたら彼女達だけかもしれ無いけど。
準備をとっとと終わらせて会社に向かう為に自転車に跨った。今日は何時に帰れるだろうか。せめてAさんから連絡があることを期待して1日を頑張ろうと頭を切り替えた、その瞬間携帯からメッセージの通知音が鳴った。
「はいはい、なんだよ、朝か…
ら、と言葉は続かなかった。
携帯画面には登録されていない番号からのメッセージで、送られてきたメッセージの一部にAと書かれているのが見えた。
「Aさん…?!」
思わず外にいることも忘れ声に出して驚いてしまうが、出社時間ギリギリになってしまっている今このメッセージを開いていいものか迷いつつ内容確認だけする為メッセージを開いた。
“昨日はありがとうございました。Aです。
ご馳走になってすみません。
伊沢さんのご活躍陰ながら応援しております。”
間違いない。Aさんだ。
…でも内容は思っていた以上に業務的な内容で思わず落ち込む。
これはなかなか骨が折れそうだ。
28人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未果子 | 作成日時:2020年12月25日 1時