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翌朝アラームで起きると携帯にはいくつかの通知が来ていた。
仕事のメール、メッセージが数件…、とりあえず洗濯物を回している間に仕事の処理をすることにしよう。土曜日でも関係なく仕事してしまうあたり自分は少しワーカーホリック気味なのかもしれない。

うん、と伸びをしてベットから出る。まだ寒い季節なので正直二度寝をしたいが我慢しニットのガウンを羽織ってキッチンで紅茶でも入れようかと思いながらリビングに向かうと昨日ローテーブルに置きっぱなしにしていた手帳が目に入った。


「そうだった…。これもどうにかしなきゃいけないんだった…。」


“伊沢拓司”の文字を見て昨日の出来事を思い出す。
思わずうーんと声が出てしまうが、紅茶を入れるべくキッチンへと向かいうーんと言いながらお湯を沸かし、うーんと言いながら洗濯機のスイッチを押して、うーんと言いながら紅茶を入れ、カップを持ってローテーブルに置く。
そのままノートPCを持ってきてソファに腰かけた瞬間腹をくくる。


「うん!やっぱり失礼になるからメッセージだけ送ろう!悩むのやめ!」


ご馳走になってありがとうございますの一言もないなんて薄情なことは出来ない。なにより駿貴の顔もある。そうと決まったら携帯のメッセージアプリを開いて、書かれた番号を打ち込みメッセージを作成する。

“昨日はありがとうございました。Aです。
 ご馳走になってすみません。
 伊沢さんのご活躍陰ながら応援しております。”

こんなとこが妥当だろう。あまり長くても忙しくされているから読む時間もないと思うし、短くていいのだ。それに返事を返されても困る。そう、有名な方と親しくなるのは光栄なことだがそれに伴う面倒事があるのだ。

…私が有名人と知り合いと分かった瞬間に寄ってくる人間がたくさんいる。
これは生きてきた中で経験し、目の当たりにして来たことだ。きっと、伊沢さんも芸能界にいらっしゃるからそれなりに色々なことは経験されているだろうが、その要因の一因にだけはなりたくないと言うのが本音だった。


「さぁ!お礼もしたことだし、メールの処理でもしますか!」


大きくもう一度うん、と伸びをしてノートPCを起動させテレビの電源を入れると仕事モードに気分を切り替える。そんな大した内容ではないので洗濯が終わる頃にはメール処理が終わるだろう。
気合を入れて仕事に取り掛かる。

そんな休みの朝。…え?矛盾してる?
それは自分が一番わかっている。

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作者名:未果子 | 作成日時:2020年12月25日 1時

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