scene.4 ページ16
しばらくカウンターで横並びで駿貴たちと話していると、話しやすいテーブル席に移るようマスターに勧められて移動した私たちは企画のアドバイスをもらいながらそれなりに盛り上がっていた。
テーブルを囲むよう置かれたソファ席で駿貴とふくらさんが1つのソファに座り、伊沢さんと山本さんがもう1つのソファに。そして誕生日席に置かれた一人掛けのソファに私が座っていた。
「それにしても、須貝さんが一人でよく言ってる店があるのは知ってましたけどなんか意外ですね。」
「え?そう?意外って?」
「須貝さんってお友達多いじゃないですか?だからもっとワイワイしたとこだと勝手に思ってました。」
「あー、そう言われればそうかもな。」
「須貝さんいつも賑やかな方なんで、お友達も須貝さんみたいな方が多そうだなって。」
「へー、駿貴の会社での印象ってそんな感じなんだ。
ここでは割と静かっていうか、誰かとくることはなかったもんね。」
「下手に外で誰かといるとあることないこと言われちゃいますからね。僕ら。」
伊沢くんが駿貴について話題を出すと、私は仕事とは関係のない人間なので私生活も気を遣ってることなど聞くと改めて有名人がプライベートで飲みにきているのだなと思う。
やっぱり人気者は大変だなぁ…。
「皆さんすごい人気ですもんね。」
「ありがたいことに。色々な機会に恵まれてます。」
「こんな機会、もう二度とないかもしれないんで嬉しいです。」
実際そうだろう。駿貴とはまた飲めると思うが伊沢さん達とはもう二度と無いようなことが起こっているのだ。本当に奇跡的だ。
というか、元より駿貴とこうやって仲良くなるのも奇跡的なことをつい忘れていた。
なんて考えていると山本さんが話しかけてくれる。
「Aさんはいつもお一人なんですか?」
「え!あ、そうですね…。この年になると周りの人間は結婚だのなんだので。
仕事に打ち込んで他のことを疎かにしてたから、気づくとこうなってました。」
「キャリアウーマンですね!」
「そういうと聞こえはいいですけど世の中は冷たいもんですよ。」
「まぁ、俺もだけど確かになぁ。言われる年にはなったよな。」
「ねー、予定ではもう少し早く結婚はしてる予定だったんだけどなぁ。」
「Aさんっておいくつなんですか?」
「え?永遠の…「俺と同じ年だよ。」
なんで言っちゃうの!」
「ごまかしてもなんも無いじゃん。」
永遠の20でいたかったのに。駿貴の馬鹿。
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作者名:未果子 | 作成日時:2020年12月25日 1時