【QK】女王はバーで溺れる (ページ15)

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「今日、仕事終わった後ふくらさん時間ない？」

会議が終わったタイミングで須貝さんが声をかけてきた。大方、金曜だから飲みの誘いだろう。ちょうど俺も山本あたりを誘って飲みに行こうかと思っていたところだったので快諾をする。

「あいてるよ～。ご飯でも行く？」

「それはそうなんだけど、ちょっと相談に乗ってほしいことがあってさ。」

「なになに。珍しいね。」

「伊沢君も誘ってて、あとから合流するんだけどさ。
　一緒にちょっと行ってほしいとこがあんだよね。」

「行ってほしいとこ？」

「いや、俺がよく行く店なんだけどさ。
　そこの人がYouTube始めたいらしいんだけど、諸々の相談一緒に聞いてほしいんだよね。」

「あぁ、そういうこと。」

須貝さんが相談なんていうからドキドキしちゃったよ。納得…。伊沢も誘ってるみたいだし楽な感じで飲みに行けるかな。
なんて考えながらデスクに座ると遠くの方で山本を誘ってる須貝さんの声が聞こえてきた。

…それにしても須貝さんがよく行く店かぁ～。どんなお店かなぁ～。

…

仕事終わりに適当な居酒屋でご飯を食べ終わってから、そのバーに連れられてきた。
ちなみにテレビ収録のあった伊沢は居酒屋に直接やって来て事情を聴くと「あー！ビビったー！」と胸をなでおろしていた。

キイ…

須貝さんが店の扉を開くと店の人が招き入れてくれる。

「おう。いらっしゃい。駿貴。」

「あ、しゅ…」

小さな声で女性の声が聞こえた気がしたが、俺たちを出迎えてくれたお店の人と須貝さんが話し出したので気のせいにすることにした。

マスターと呼ばれる人に挨拶をして、みんなそれぞれの飲み物を飲み始めたあたりで須貝さんがAという人の名前を口にした。

「で、マスターは？Aにちゃんと説明したの？」

「「「A？？」」」
「へ。」

どうやらAさんは初めから座っていた女性だったらしく、奥から間の抜けた声を出した。
目を向けると濃いグレーのジャケットをかっちりと身にまとった女性で、スタイルもよくきれいな方だなと思った。するとマスターさんや須貝さんに呼ばれると半ば無理やり須貝さんの隣に座らされていた。

話を聞いているとどうやら彼女もYouTube企画に参加させられるらしく、マスターさんや須貝さんが言いくるめているのを見て察した俺達も加勢することになった。