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｢目黒くんってさ、｣
｢ん？どうしました？｣
授業が始まったため、小声で話しかける。
配られたプリントを見ながら先生の話を聞き、重要な部分に線を引く程度の緩い授業。
目黒くんは思ったよりも真面目に話を聞いて、プリントを読んでいた。
｢意外と真面目だね｣
｢意外とってなんすか。笑｣
｢ちゃんと話聞いてプリントも読んでて偉いなと思ったのよ｣
ちょっと、上から目線になってしまったかな。なんて気にしても、もう口に出してしまった。
思ったよりも目黒くんとは話せるみたいだ、私。
きっと、目黒くんのコミュニケーション能力のお陰なのだろう。これで相手が渡辺くんだったらきっと私は積極的に話したりはできない。
｢俺馬鹿なんすよね。だから頑張るしかできないんです｣
思いがけず出てきた謙遜と真面目な言葉に驚いた。
なんだか、出席日数で単位落としまくっていることを言ってしまったのが本当に恥ずかしい。
｢…真面目だね。出席日数で単位落とした私は耳が痛いよ｣
｢え、Aさん耳痛いんですか？｣
｢え？｣
キョトンとした顔で聞いてくる目黒くんに耳を疑う。これは天然で言ってるのかな。
本当に分からない、という顔をしてくる目黒くんになんだか笑えてきてしまう。
｢え、まってなんで笑ってんの！｣
｢いや、あのね、耳が痛いっていうのは、他人の言葉が自分の弱点を指摘していて、聞き苦しいみたいな意味なのよ｣
｢あ、そういうことなんだ｣
私の笑いながらの説明を聞いて、直ぐに納得した目黒くんはきっと素直なんだろうな、と感じると同時に、先程の謙遜だと思っていた『俺馬鹿なんすよね』は事実であることを悟った。
｢はあ、面白かった。目黒くんって、話しやすいね｣
｢え？本当に？嬉しいです｣
｢うん。本当に。私、結構人見知りしちゃうけど目黒くんは話しやすい｣
実際私は、そんなに仲良くない人と一緒にいても、自分から話しかけたりはしない。
でも目黒くんは、質問で話しかけてくれて会話を続け易いし、話してくれることも面白くて自然と笑ってしまう。
だから、私も自分から話を振ることができる。
これは人見知りの私にとっては凄いこと。
｢俺もAさんと話すの面白いっすよ。良い意味で先輩感がなくて｣
｢それはちゃんと褒めてます？｣
｢良い意味でって言ってるじゃないですか。笑｣
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作者名：オユ | 作成日時：2021年2月24日 0時
