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「よし、揃ったし自己紹介でもする?まあ俺はみんな知ってるけど!わら」
集まって地味に気まずい空気を吹き飛ばすようにヘラっと笑う深澤くん。
こういう自然にリーダーシップ取ってくれる人がいるとグループで動きやすいから助かる。
心の中で深澤くんに合掌をし、現実世界で挙手をした。
「あ、じゃあ私から。佐倉Aです。2年で深澤くんと渡辺くんとは学部が一緒です」
「え、佐久間?」
「あ、え?いや、佐倉です」
「なんだ、びっくりした」
"めぐろ"くんという人にいきなり話に切り込まれてキョドってしまった。
ビックリしたって何だろう。ビックリしたのはこっちのセリフだ。
渡辺くんは眠そうだし、深澤くんはケラケラと笑っている。
「俺らの友達で佐久間って名前の友達がいるのよ。それで聞き間違えちゃったんだと思う」
「あ、そうなんだね。びっくりした」
「……じゃ、この流れで俺ね、深澤辰哉です!ってみんな知ってるからいらなくね?」
実を言うと、奈子のことを言えないほど私は人見知りが激しい。特に微妙に知り合いだとどう接したらいいか分からなくなってしまう。
深澤くんがワケを教えてくれたにも関わらず上手い返しができなかったが、すぐに自己紹介の流れに戻してくれた。
これがコミュニケーション能力なんだろうな、と自分の能力との差に少しだけ落ち込む。
「わたなべしょーた」
「いや、翔太早すぎ!わら」
「だって俺はみんな知り合いじゃん」
渡辺くんは予想通り、省エネモード。
渡辺くんは顔がかっこいいし、深澤くんといるからそんなに目立たないものの、背丈もある。
それもあって深澤くんと同じくらい人気だ。
「…じゃあ俺っすね。1年の目黒蓮です。ふっかさんとしょっぴーとはサークルが一緒で。よろしくお願いします、Aさん」
「あ、え、うん、よろしくお願いします!」
私をガン見しながら挨拶した彼は小さく会釈した。
もはや私へだけの挨拶だ。いや、まあ私だけ彼を知らないからそれはそうなんだけど。
「目黒、Aちゃんビビってるから!」
「あ、すいません」
深澤くんがまたしても謎の空気をフォローしてくれる。
申し訳なさでいっぱいだ。
奈子のグループをチラリと盗み見るが、奈子は康二や他の友達と同じグループなのもあり、いきいきとしている。
奈子にはあんなに言ったくせに自分が人見知り炸裂させてるなんて、恥ずかしいな。
この授業の履修、取り消ししたいな、なんて。
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作者名:オユ | 作成日時:2021年2月24日 0時