-21- ページ21
・
｢おまたせしました！｣
｢いや、ごめんね急がせちゃって｣
手を合わせて眉を下げる亮平くんは相変わらずのあざとさ。
支度を終えた私は暇だし、という理由でカフェでお茶をしていた亮平くんと合流をした。
｢実は友達二人も暇だからもうすぐ来るって｣
｢え！？！？｣
緊張で心拍数が爆上がりし、手汗が止まらなくなり、手を服で拭う。
亮平くんはそんな私を見て他人事のように笑った。
全く、他人事だと思って…。
｢あ、来た！おーい、こっち！｣
｢阿部ちゃん久しぶり〜！…あれ？｣
聞き覚えのある声に勢いよく振り返ってみると昨日見たばかりの顔が二つ。
｢深澤くん、渡辺くん、｣
｢阿部ちゃんの友達ってAちゃんだったのね、笑｣
｢そっか、Aはふっかたちと学部一緒だったんだっけ！｣
すっかり忘れてた、と笑う亮平くんにホッと肩の荷が降りた気分になる。
全然知らない人よりかは断然話しやすい。
｢A、ふっかたちと仲良いの？｣
｢昨日の授業で同じグループになったから、仲良くなり始めた、みたいな？｣
｢そうそう、目黒も一緒で四人グループ！わら｣
｢え、亮平くん、目黒くんとも知り合いなの？｣
世間が狭すぎる。私の周りは知り合いで囲まれてるのか？と思ってしまうほど。
話を聞いてみると、他に共通の友達が何人かいて、何度か顔を合わせるうちに仲良くなったらしい。
亮平くんの人脈の広さにはつくづく驚かされる。
｢てか、その中に入れられたA面白いね、笑｣
｢笑い事じゃないよ…私めちゃくちゃ緊張したんだから…｣
｢でも頑張って話したんでしょ、偉いね〜｣
完全にコミュニケーション能力に難がある私を甘やかす亮平くんに冷ややかな視線を向けるが、効果は無い。
｢え、阿部、付き合ってんの？｣
困惑した表情の渡辺くんが私と亮平くんを指差しながら尋ねてきたので思わず笑ってしまう。
｢付き合ってないわ、高校からの友達。笑｣
｢いや、俺も付き合ってんのかと思ったわ、ビビった。聞いてねえよって、笑｣
深澤くんも困惑しながらふう、とため息を漏らした。
恋愛事情もそんなに報告し合ってるくらい仲良いんだ、と益々世間の狭さを感じる。
｢なんか、変な感じ。阿部ちゃんとAちゃんが並んでんの｣
｢私も変な感じ、亮平くんと二人が並んでるの、笑｣
合縁奇縁ってこういうことなのかな。
気まぐれな縁の結び付きって面白い。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1219人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「目黒蓮」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：オユ | 作成日時：2021年2月24日 0時
