藍沢先生。3 (ページ28)

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「横田さーん、お休みのところごめんなさい。少しお話を聞かせてもらってもよろしいですか？」

「はい…」

次の日、私は手術の日取りが決まり、詳しく本人からも話を聞こうと思い、横田さんの病室へ足を運んだ。

「鼻の形成手術は、明日の午後になりました」

「いいです‥鼻はつぶれたままでいいです…」

「治療は結構です‥」

横田さんはそう言い、背を向けてしまった。

予想もしなかった返事に、私はすぐそばにいた冴島さんと目を合わせた。

そして、それ以上は何も言えなかった。

やっぱり、あの彼氏のDVが原因なのかな…

そう思いながら冴島さんとエレベーターに乗っていると、
途中から藍沢くんと白石さんが乗ってきた。

「さっさと精神科にコンサルして形成に送れ。
　恋人は警察に連絡。それしかない」

そう言い残し、エレベーターを降りる彼。

「それしかないのかな…」

「でも、なんで治療を嫌がるんだろう…」

「他人にはわかりませんよ」

「男と女のことですから」

白石さんの言葉に冷たく言い放つ冴島さん。

この2人、なんかあったのかな…と思っていると、
白石さんが口を開いた。

「ねえ、冴島さんって彼氏とかいるの？」

その問いかけに冴島さんは

「…死にました、半年前」

と答え、エレベーターから降りていった。