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第382話🦇“神魔” ページ48

*NO side*

「今回の件は……偶然ながらも、アナタを“覚醒”に近付かせたようです」

ミリアのその言葉に、ミラは怪訝(けげん)そうに眉をひそめる。

「覚醒、って……」

「―――アナタが、真の意味での“神魔(しんま)”に近付いたということです」


神魔(しんま)――それは、悪魔と神の間に生まれた者のことを呼ぶ。

とはいっても……悪魔は魔界の住人で、神は天界の住人。両者は本来、交わることの無いもの。

しかし……唯一、神との婚姻を認められているのがこのシュピーゲル家である。

もちろん、必ずしも神と結婚しなければならないわけではなく……現にミリアの両親も、父母共に悪魔だ。

しかし、ミリアの夫となった人物は神であり……その間に生まれたミラは、“神魔(しんま)”ということになる。


「“T(テスカトリ)”の名を継ぐのは、神魔(しんま)のみ……アナタは、数百年ぶりに我が家系に生まれた期待の子。くれぐれも、そのことを忘れぬよう……」

「結局小言やんけ……。はいはい、言われんでもわかってます〜」

うんざりした様子でそう言い、ミラは母親の顔を睨むように見やる。

「話終わった? 明日も普通に学校あるし、もう寝たいんやけど」

「……そうですね。おやすみなさい、ミラ」

「……………」

母からの言葉に応えること無く、ミラはさっさと出ていってしまった。

「やれやれ……お嬢様にも困ったものですね」

「そうね。……けれど」

コラソンの言葉に静かに答えつつ、ミリアはどこか悲しげに目を伏せる。



「一番あの子を困らせてしまっているのは、きっと私なのよね……」



ミリアのその呟きに、コラソンは何も言えず視線を落とすのみだった―――。

●あとがき●→←第381話🦇親子の会話



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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年9月11日 21時

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