第375話🦇懐き度カンスト ページ40
*ブルシェンコ side*
ババ抜き対決を再び始めようとしたシュピーゲルだったが、奥からロビン先生がやって来て遮られた。
「あーッ！！ こんなとこに居たねミラさん！ そろそろ夕食作るけど、今日は手伝ってくれないのー!?」
「あら、もうそないな時間ですか」
壁掛け時計を見て初めて気付いたらしく、シュピーゲルはトランプをテーブルに置いて立ち上がる。
「残念やけどオズワール先生、勝負はお預けってことで♪」
「えッ、ちょッ、例の写真は＿＿＿って速ッ!?!?」
何やら引き止めようとしたオリアス先生だったが、シュピーゲルは聞く耳持たずでロビン先生の元へ駆け出していってしまった。
取り残されたオリアス先生に向け、私は深々と溜め息をつきながら声をかける。
「何やら、教え子が好き勝手やらかしているようで……申し訳ない」
「あぁ、いえいえ。家系能力使った上であんなにも良い勝負ができるなんて初めてで、俺も楽しかったですし」
笑いながらそう答え、オリアス先生は私のほうを見やりながら続ける。
「どうですかね？ 俺ら的には、精神状態もかなり安定してきたと思うんですけど」
「……そう、かもな」
実家から離れ、違う環境に身を置くことで気を紛らせる計画だったが……確かに、今の様子を見ている限りだいぶ安定しているように思える。
例の暴走直後に実家のほうへ帰らせるのは、なんとなく危うい気がしていたからな……。
「ちょっと寂しいけど、そろそろミラちゃん卒寮の日も近いですかねぇ」
「そうなるといいんだが……」
そんなやり取りをしていると、ロビン先生に付いていったはずのシュピーゲルが慌ただしく駆け戻ってきた。
「なぁなぁブルシェンコ先生ッ！！ ロビン先生が、よかったらブルシェンコ先生も食べてってやってさ！！」
「え゛ッ。いや、私は……」
「いいじゃないですか。ミラちゃん、ロビン先生の手伝い頑張ってくれてるんですよ？」
オリアス先生に面白がるようにそう言われ、返す言葉に迷ってしまう。
「美味しいごはん、期待しとってくださいねー！！」
勝手に結論を出して意気揚々と去っていったシュピーゲルに、思わず頭を抱えて息を吐き出す。
「随分と懐かれましたねぇ、担任先生」
「やれやれ……本当に、手のかかる問題児だ」
口ではそう言いつつも自然と笑ってしまう私を、オリアス先生は微笑ましそうに見守っていた。
第376話🦇まっふるもふのパチパチ番長→←第374話🦇レッツ☆ババ抜き
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作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2022年9月11日 21時
