第365話🦇誰よりもわかってくれるヒト ページ30
*ミラ side*
ブルシェンコ先生は教師寮組ではなかったため、アタシを他の先生たちに任せて帰っていった。
「ふい〜、女子の部屋はここですよ」
案内役を買って出てくれたスージー先生に連れられやって来たのは、女性の先生たちが使用しているらしい部屋で。
「ここの空き部屋が、ミラさんのお部屋になりま〜す」
その部屋は、ハッキリ言って実家のアタシの部屋よりずっと狭かった。
けど……不思議と、実家の自室よりも居心地の良さを感じて。
「……良い、部屋ですね」
「ふふっ、そう言ってもらえて良かったわ〜。何か困ったことがあれば、どの先生でもいいから声をかけてくださいね」
「はい、ありがとうございます！」
生活に必要な荷物は、ブルシェンコ先生が実家のほうに頼んで送ってこさせる言うてたし……その間に、もっと探検してみたいなぁ。
「ね、スージー先生。もしよかったら、他のとこも案内してくれません？」
「ふいっ、もちろん構いませんよ〜」
「……あの、アタシをしばらくここに住まわせるって言い出したのは…ブルシェンコ先生、なんですよね？」
「ええ、そうよ」
簡単にそう答えてから、スージー先生は思い出すように言葉を
「本人はあまりこういうこと言いたがらないだろうから、私が言っちゃうけど……ブルシェンコ先生ね、アナタのことすごく心配してたみたい。アナタの事情を、きっとどの先生よりもわかっているから……だからこそ、特別に教師寮での生活を提案したんだと思うわ」
スージー先生からそんなことを聞かされ、アタシは素直に嬉しくなった。
家絡みで特別扱いされるのは大ッ嫌いやけど……こういうのは、案外悪くあらへんな♪
「さぁ、教師寮ツアーを始めましょうか！」
「はーい！」
改めて担任の優しさが身に染みたアタシは、上機嫌でスージー先生の後に付いていくのだった。
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作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2022年9月11日 21時
