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第243話🦇忘れられない顔 ページ4

*ロボロ side*

師団(バトラ)に入るのを……やめる!?」

驚いた様子のペイント兄さんに、俺はうつむきがちに答える。

「……うん。俺とは相性が悪いみたいだから」

「ま、待ってくれロボロ……! お兄ちゃん、お前に合う師団(バトラ)を見つけたんだよ!」

そう言いながらペイント兄さんは、手に持っていたチラシを見せてくる。

「せめて最後に一度だけ……」

「もういいんだよ、兄さん。ありがとう」

兄さんも、ミラも……俺のために、たくさんやってくれた。でも……もう、いいんだ。

「これ以上は時間の無駄だから。それより、今後の計画を見直さなきゃ。卒業まで、俺1人の力でやっていくために……」

モヤモヤとする心中を誤魔化すように、つらつらと言葉を並べながら手帳を開く。

そんな俺の肩を、ペイント兄さんは力強く掴んできた。

「それは違う!! 違うぞ、ロボロ……!!」

「ペイント兄さん……?」

いつになく必死な兄さんの様子に、俺は驚いてしまう。

「まだ…まだわかんないだろ……! この先きっと……志を共にする仲間が、肩を並べて走ってくれる奴らが現れるはずだ。こんな、最初の最初で諦めるなよ。だって…だって……!!」

俺の肩を掴む力を強め、ペイント兄さんはバッと顔を上げる。



「―――お前の学園生活はまだまだ始まっちゃいないだろ!!! ロボロ!!!!」



「ッ……!!」

その言葉を受けて、俺はハッとした。

と同時に、なぜか頭に浮かんだのはミラの顔で。


『自分にピッタリの師団(バトラ)で思いっきり楽しみや!』


……別に、彼女に報いたいわけではないけれど。

今まで見てきた彼女の笑顔が、忘れられなくて。

「……ごめん、ペイント兄さん」

目の前の兄さんの顔を真っ直ぐ見つめ、俺は口を開く。

「俺……まだ、諦めたくない。もう一度だけ……やってみるよ」

「! ロボロ……!!」

「あと……今すぐ行かなきゃ行けないとこができたから。行ってくる」

俺の言葉を聞いて全て察してくれたのか、ペイント兄さんはニッと笑った。

「おう!! 行ってこい!!」

「ッ……うん、ありがとう!!」

兄さんに背を向け、俺は駆け出した。

第244話🦇鏡少女は見直した→←第242話🦇希薄な関係



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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年8月22日 9時

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