第171話🦇守りたいモノ ページ28
*シャオロン side*
「こんな夜遅くまでどちらに行かれていたのですか!!」
ミラが降り立つなり、執事らしき男は彼女に詰め寄る。
「ご当主様も、お嬢様のことをご心配なさって……!」
「……母さんのことなんか知らんわ。アタシが何しようが、アンタにも母さんにも関係無いやろ」
ひどく冷たい声で受け答えるミラに、俺は唖然としてしまう。
そこに居る彼女は、俺たちが知っているミラとは全く違う悪魔に見えて……。
「! どなたですか」
俺に気付いたその執事っぽい男は、鋭い目つきで俺を睨んでくる。
「もしや、貴殿がお嬢様をたぶらかして___」
「ええ加減にせえよッ!!!!!」
思いっきり怒鳴り散らして胸ぐらを掴んだミラに、その男は冷や汗を流して押し黙る。
「勝手にアタシのオトモダチのせいにしてんとちゃうぞ……。もしもう1回妙なこと言うたら、アンタといえど八つ裂きにしたるからな……」
「……も…申し訳、ございません……」
ガタガタと震えて腰を抜かした男をよそに、ミラはこちらに背を向けたまま呟く。
「……ごめん、シャオロン」
「え、あ…いや……べ、別に気にしてへんから! なッ?」
慌てて答えるも、ミラはこちらに顔を見せようとしない。
「……今日は、ありがと。……それじゃ」
「お、おう! また明日なー!」
スタスタと門の中へ入っていくミラに続き、執事らしき例の男も決まり悪そうに去っていった。
2人が家の中に入り姿が見えなくなってから、俺は自分の家に向かって飛び立つ。
……あんなに気が立ってるミラ、初めて見たな。
俺らの前ではいっつも笑っとるし、楽しそうやし……でも、身内の前ではそうはおれんのか。
もしかしたら、魔ーメン屋での着信も…家からの……?
……アイツは…俺らが思っとる以上に、苦労してきたんかもな。
けど……そんなアイツが、俺らの前ではあんなにも笑ってくれてる。あんなにも、楽しそうに生きてくれてる。
なら俺は…その時間を、空間を、日常を……守りたい。
ミラの笑顔を……守りたいんや。
今の俺にできることなんて、たかが知れとるかもしれんけど……それでも、アイツの力になってやりたい。
決めたんや、ミラの弱い部分を知った時から。俺らでアイツを支えてやる、って。
だから……大丈夫やで、ミラ。何も心配せんで大丈夫。
俺たちは……明日もまた変わらず、お前と馬鹿やるだけやからな。
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空文 晴霧(プロフ) - くろほたるさん» こちらこそ素敵な感想ありがとうございます!! そうなんです、一方的じゃなくて互いに大きな存在となってるんですよ…!!! そう言っていただけると、頑張ってオリジナルストーリーを書き上げた甲斐があります(*´ ˘ `*) (5月21日 7時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
くろほたる(プロフ) - お互いがお互いを無意識に救いあっている💣🪞がなにより愛おしいです!!!!この絡みでオリジナルストーリーを作って頂き本当にありがとうございます…!!!! (5月21日 6時) (レス) id: 917d162833 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 暁さん» 私もそう思いながら書きました…!!! 喜んでいただけて何よりです!! (2023年3月30日 21時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
暁 - オうふっ...ゾムさんとの絡みてえてえ...っ! (2023年3月30日 13時) (レス) @page20 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - すずねこさん» かわいいですよね…!!!(激しく同意) (2022年11月26日 16時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年7月18日 13時