第95話🦇“野望”の話 ページ48
*ミラ side*
「そういえば……以前朗読会をした時、イルマに野望の話をしたんだ」
唐突に話題転換をしてきたアメリに、アタシは「へぇ？」と興味をそそられる。
「それで、彼は何て？」
「あぁ……私が野望を尋ねた時、アイツは最初、『みんなと楽しく過ごせればそれでいい』と答えた。しかし、それは
確かに……アメリが言ったイルマの言い方には、野望に必要不可欠な“欲”が見えへんかった。
「するとアイツは、『自分のしたいことなんて考えたことが無い』と答えたのだ」
「ほぉ……？」
そんな悪魔、おるんかなぁ……？
「だから私は助言してやったのだ。
「なるほど……ええアドバイスやないの」
「フフッ、だろう？ 今後、イルマがどう学園生活を送っていくのか……少し楽しみなんだ」
そう言ってふっと微笑む彼女を見て、アタシは気付く。
……あぁ、なるほど。アタシが、シャオロンや我々
「……そっか。イルマ、おもろいもん見せてくれるとええね」
「フッ、そうだな。……そういえば」
ふと思いついたように、アメリはこんなことを尋ねてきた。
「お前の野望はいったい何だ？ 少し興味があってな……差し支えなければ、私に教えてくれないか」
「……！」
アタシの野望……か。
さて…どう答えたもんかねぇ……。
どうせ野望なんて、抱いたところで何の意味も無いのに―――。
「い、言いづらいのか？ それなら、無理はしなくても……」
「あー、いや。そういうわけじゃ……」
アタシの、野望は＿＿＿。
«〜♪»
不意に着信音が鳴り響き、ス魔ホを取り出す。
そこには、シャオロンから着信が来ていることを示す画面が。
「む……仲間か？」
「そーみたいですわ。……悪いけど、今日はこの辺で」
「ああ、また話そう」
「もちろん！」
アメリと別れて談話室を出ると同時に、アタシはシャオロンからの電話に応答する。
「もしもーし」
『おうミラ！ 用事終わったか？ 一緒に帰ろうで！』
―――シャオロンとの他愛のない会話で、アタシは自分の野望について自分の中で無かったことにした。
どうせ、一生叶わん野望なら……いっそ、無いほうがマシなんよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空文 晴霧(プロフ) - すずねこさん» おおお…良い考察ですね(*¯꒳¯*) ミラちゃんの家系についてはいずれ描くつもりなので、どうぞお楽しみに！ (2022年11月24日 20時) (
レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
すずねこ - シュピゲール(あってなかったらすみません)家の鳥籠の中に自分(ミラちゃん)閉じ込められているように見えるから気に入らなかったのかな？面白かったです！ (2022年11月24日 17時) (レス) @page50 id: 7959e43801 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2022年5月12日 11時
