第69話🦇最初で最後の言及 ページ22
*シャオロン side*
「おはようミラ!」
翌朝―――大先生、トントン、ゾムと共に教室へ向かう途中で彼女を見つけ、俺は声をかけた。
「あら、お揃いで」
「お前、あの話聞いたか? 昨日の飛行
事前にゲットしていた情報を伝えてやると、ミラはパチクリと目を瞬かせた。
「え……それ、ホンマなん?」
「マジマジ! お前らも聞いたよな?」
確認する素振りを見せると、3人ともうんうんと頷いた。
「そっ、か……」
どこか安心したように微かに笑みをこぼす彼女に気付き、俺は自然と顔を
「そういうことなら、はよ教室行こうで!」
すっかり元気になったミラは、俺たちに向かってそう言い駆け出した。
「おッ、朝から追いかけっこか!? やったるで!!」
昨日からずっとミラと遊びたがっていたゾムは、パアッと顔を輝かせて彼女の後を追いかけた。
「あぁん、置いてかんといてえなミラちゃ〜ん!」
「ちょっと待てゾムぅ! 爆弾出そうとすなァ!!」
2人の後を追って駆け出す大先生とトントンを見送り、俺もその後に続こうとしたその時だった。
「トイフェル・シャオロン」
「うおおおッ!!! ビッックリしたァァ……!!」
いつの間に立っていたのか、背後からブルシェンコ先生に名前を呼ばれて心臓が飛び出そうになってしまった。
「おッ、おはようございます〜! あの〜、今日はまだ何も悪さやってへんですよ……?」
「……『今日は』、な」
意味深に呟き、ブルシェンコ先生は俺を見下ろして口を開く。
「昨日、我がクラスの生徒1名が自主退学を申し出てきた。……聞いているか?」
「……ええ! 今朝、先生方が噂されてるのをたまたま耳にしましたよ?」
ニパッと笑って答える俺を、ブルシェンコ先生は真っ直ぐ見据えたまま言葉を続けた。
「彼が自主退学した件について……お前は、何か知っているか?」
探るような目で見られていることに気付き、俺はスッと笑みを消す。
「……さぁ、特に何も。あ、でも〜……」
ブルシェンコ先生に背を向け、薄く口角をつり上げながら俺は告げた。
「おエラいご令嬢にちょっかいかけたから、天罰が下ったんじゃないですかねぇ……?」
「……………」
そのままスタスタと去っていく俺を、ブルシェンコ先生は無言で見送る。
それ以来、この件について言及されることは無かった。
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空文 晴霧(プロフ) - すずねこさん» おおお…良い考察ですね(*¯꒳¯*) ミラちゃんの家系についてはいずれ描くつもりなので、どうぞお楽しみに! (2022年11月24日 20時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
すずねこ - シュピゲール(あってなかったらすみません)家の鳥籠の中に自分(ミラちゃん)閉じ込められているように見えるから気に入らなかったのかな?面白かったです! (2022年11月24日 17時) (レス) @page50 id: 7959e43801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2022年5月12日 11時