第752話🦇判断材料 ページ36
*ココ side*
―――温厚な家系の生まれであるにもかかわらず、好戦的で学園内でも指折りの問題児。
―――出会い
―――イカレた令嬢。
……確かに、彼女に関する噂を私はいくつも耳にしてきた。
だからこそ私は話したことも無い彼女に警戒心を抱き、なるべく関わらないよう努めてきた。
だが―――。
「……君は、噂通りの問題児かもしれない。初対面の相手を無理矢理連れ込み、共に勉強など……規格外だ」
「……………」
無言で見据えてくる彼女を真っ直ぐ見つめ返し、「しかし」と言葉を続ける。
「こうして、初対面の相手を笑顔で素直に称賛することのできる……素敵な心の持ち主だと、同時に思った」
「ッ……!」
小さく微笑みながらそう告げると、彼女は驚いたように目を見開いた。
「噂に惑わされること無く、この目で見て……判断した。君は……―――噂よりもずっと、魅力的な悪魔だ」
私の言葉に彼女は何も言わず、何とも言えない沈黙が走る。
「……あッ、いや! すまないッ、好き勝手言ってしまって……!!」
静寂に耐えきれず慌てて口を開くと、彼女はゆっくりと首を横に振った。
「正直に話してくれてありがとうな、ココくん。……アタシ、アンタのこと気に入ったわ!」
ニパッと満面の笑みを浮かべ、彼女はスッと手を差し出してくる。
「ねッ、ココくん。アタシのオトモダチになってや」
「オ、オトモダチ……?」
初めて聞く単語に首を傾げる私に、彼女は「仲良しさんのことやで」と簡単に説明する。
「収穫祭まで残り少ないけど……また一緒に、こうやって勉強しようや。アタシ、待ってるからな!」
無邪気に笑ってそんなことを言う彼女に、やけに鼓動が速まってしまう。
それと同時に……なぜか、この手を取りたくなってしまった。
「……そう、だな。誰かと共に勉強するのは初めてだったが、良い刺激になったし……」
「よっしゃッ、決まりやな!」
自分から私の手を握り、彼女は今日一番の笑顔を見せる。
「改めて……これからよろしくなッ、ココくん!」
……『よろしく』、か……。
噂を知る前も、知った後も、私への態度が一切変わらない……本当に、なんて純粋で無垢な悪魔なんだ。
様々な知識を得てきた私だが……誰かのことをこんなにも知りたいと思ったのは、初めてだな。
「ああ……よろしく、ミラさん」
笑って応えた私に、彼女は嬉しそうに笑みを深めるのだった。
102人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空文 晴霧(プロフ) - ぎおののーとぱそこんさん» コメントありがとうございます! アズくんとの絡みは私もめちゃくちゃ楽しんで書いてます(笑) ファンクラブ立ち上げましょう!!\( `꒳´ )/ これからも応援よろしくお願いします! (2023年4月7日 9時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
ぎおののーとぱそこん - 二回目のコメント、別機種から失礼します〜ミラちゃんと魔主役もやが、魔入間たち(とくにアズ君)の絡みが…神…。ミラちゃんと我々怪盗団…最高っす…悪魔ミラちゃん、性格が素晴らしい…ミラちゃんファンクラブ立ち上げたいっすわ…。陰ながら更新応援してます!! (2023年4月7日 3時) (レス) @page3 id: 1e15dc8a80 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます!! ギャップの女・ミラちゃんですからね( *¯ ꒳¯*) 収穫祭編も気合いを入れて書きましたので、皆様にお披露目できる日が私も楽しみです(*´∀`*) (2023年3月27日 16時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 収穫祭で悪周期ミラさんが見れるのでは?と期待をしております!ミラさんの無邪気さと悪魔らしさのギャップでいつも心揺れてます〜!更新頑張って下さい! (2023年3月27日 15時) (レス) @page10 id: 925a09eca2 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - バー子さん» ありがとうございます!! どんどん匂わせていきますので、ご期待ください( *¯ ꒳¯*) (2023年3月26日 21時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2023年3月17日 19時