第675話🦇愛しき“不変” ページ7
*エーミール side*
「ごめんなぁッ……」
俺の口から吐き出されたのは、情けなさの塊のようなその一言だった。
「俺がもっと強い悪魔やったら、君にそんな怪我をさせることも無かったのに…君はこの数年でとても強くなったのに、俺は…何も変わってへんッ……!」
グッと拳を握り締めて唇を噛み締める俺の目から、悔しさの込もった
そんな情けない涙を、彼女はゆっくりと手を伸ばしてそっと拭った。
「確かに……エミ兄やんは、変わってへんよ。でも…アタシが言うたんは、そういうことやなくてね……」
恐る恐る目を向けると、優しく微笑む彼女の顔が目に飛び込んでくる。
「いろんなこと知ってて、優しくて……たとえどんなにアタシが変わろうと、笑顔で受け入れてくれる。……何も変わってへんよ、アナタは。昔っから……―――アタシの尊敬する、大好きなエミ兄やんやで!」
「ッ……!!」
その時俺は、彼女の言った“変わってない”の真の意味を初めて理解した。
……あぁ、そうやった。こんな俺のことを、君は昔からずっと慕ってくれて……。
いろいろ変わった君やけど、そこは変わってなかったんやなぁ……。
「だからな、エミ兄やん」
俺に笑みを向けたまま、彼女は俺の手をそっと握り締める。
「絶対大丈夫。だってアナタは、この大天才のアタシが心から尊敬する悪魔の1人なんやで? だから……ちゃんと信じてや、自分のこと」
「ミラちゃん……」
……そうだ、悲観的になっている場合じゃない。ここで彼女を守れなければ、本当に自分の価値がわからなくなってしまう。
諦めるな、思考を巡らせろ。何か必ず、打開策が……!
必死に脳をフル回転させていると、不意にミラちゃんが何かに気付いたように声を上げた。
「なぁ、エミ兄やん……その本、なんか光ってるで?」
「えッ……」
ハッと目を向けた先には、俺が家系能力で出した魔術書の1冊が転がっている。
その書物は……彼女の言う通り、光り輝いていた―――。
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空文 晴霧(プロフ) - バー子さん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます!! これからも頑張ります(*´∀`*) (2023年2月13日 21時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
バー子 - 面白いお話、いつもありがとうございます!!応援してます!! (2023年2月13日 21時) (レス) @page12 id: ca2116eb16 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - AYMさん» コメントありがとうございます!! サバト編、ぜひお楽しみください( *¯ ꒳¯*) 11巻のutくん活躍シーンも私なりに描かせてもらってるので、いずれお目見えするのが楽しみです(´∀`) (2023年2月4日 17時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
AYM - 続編(15)おめでとうございます!!ミラちゃんいいですねえ!好き(告白)サバト編だから、あのemさんが見れるのか!wktkてか、そろそろで11巻のut活躍回が来るがミラちゃんは見るのかな?見たら大興奮だろうなぁ、これからも無理せず頑張ってください!!応援してます! (2023年2月4日 14時) (レス) @page1 id: 48240d13f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2023年2月3日 21時