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第672話🦇似た感情 ページ4

*シャオロン side*

「……………は?」

一瞬……何が起きたのかわからなかった。

エーミールが魔獣にやられそうになって、反射的に助けようとして、それをミラに鏡で邪魔されて―――。

「……ミ、ラ?」

恐る恐る顔を向けた先では、崩れた壁と……その近くに横たわる、ミラが。

当たり所が悪かったのか、彼女はピクリとも動かない。

目の前の光景をようやく理解した瞬間、脳裏をよぎるのは苦い記憶――デビルポークの里で、たった独りで魔狼と戦い怪我をしてしまったミラの姿。

「あ……」

魔獣がミラのほうへ向かっていくのを、俺は呆然と見つめることしかできない。……体が、動かない。

あぁ…俺はまた、何もできんのか……? 守りたいはずの相手に、いつもいつも守られて……俺はッ___!!!


「〖風刃(シェイバー)〗!!」


大きく響き渡ったその声にハッと目を向けると、なんとあのエーミールが魔術を成功させて魔獣に攻撃を加えていた。

「そッ……それ以上彼女に近付いたら容赦しませんよ!!」

初めて見るような必死な様子で、エーミールはミラを守るため様々な魔術を繰り出す。

「な、なんかエーミールの奴…やけに必死やな……?」

「ハッ……!! まさかあの野郎ッ、僕らのミラさんを狙って……!?!?」

チーノの嫉妬心むき出しの言葉を、俺は静かな声で否定した。

「……いや、多分やけど…アイツのは、そういうんとちゃうと思うで」

「え……?」

「シャオちゃん……?」

確信があるわけやないけど……なんとなく、わかった。エーミールがミラに向ける感情は、どちらかといえば俺がミラに向ける感情(モノ)と似ているのだと。

決して恋愛的な好意ではなく、下心でもなく……ただ純粋に、無性に、相手を守りたい。そこに、難しい理由なんて要らへん。

ミラを守ろうとするエーミールの顔に、俺はそんな感情を垣間(かいま)見た気がした。

それと同時に……彼女のために咄嗟(とっさ)に動けたアイツを、ひどく(うらや)んでしまう自分がいた。

第673話🦇不相応な価値→←第671話🦇守りたいのは1つじゃない



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空文 晴霧(プロフ) - バー子さん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございます!! これからも頑張ります(*´∀`*) (2023年2月13日 21時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
バー子 - 面白いお話、いつもありがとうございます!!応援してます!! (2023年2月13日 21時) (レス) @page12 id: ca2116eb16 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - AYMさん» コメントありがとうございます!! サバト編、ぜひお楽しみください( *¯ ꒳¯*) 11巻のutくん活躍シーンも私なりに描かせてもらってるので、いずれお目見えするのが楽しみです(´∀`) (2023年2月4日 17時) (レス) id: 623713d1fa (このIDを非表示/違反報告)
AYM - 続編(15)おめでとうございます!!ミラちゃんいいですねえ!好き(告白)サバト編だから、あのemさんが見れるのか!wktkてか、そろそろで11巻のut活躍回が来るがミラちゃんは見るのかな?見たら大興奮だろうなぁ、これからも無理せず頑張ってください!!応援してます! (2023年2月4日 14時) (レス) @page1 id: 48240d13f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空文 晴霧 | 作成日時:2023年2月3日 21時

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