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緊張していたのが嘘みたいに、呼吸と同時に零れた言葉が、静かな教室に響く。
遠くから誰かの話す声が聞こえる。
轟くんの目が大きくなった気がした。
『えっ！？何寒いんだけど！』
「！……悪ィ」
直後、下がる室温と凍りつく床。
咄嗟に彼から距離を取ったから足を取られることはなかったけれど一歩遅ければ大惨事だ。
轟くんはバツが悪そうな顔をして氷を溶かしている。
……思わず攻撃しちゃうほど、嫌だったってこと？
体育祭前に告白をされたことは確かに覚えているが時間もかなり経っているし、もうわたしなんて眼中になかったのかもしれない。
今更変なこと言うな、って怒っている可能性だってある。
『嫌なら嫌ってはっきり言ってね？』
変な気遣いなんていらない。
傷つかないわけじゃないけど無理やり付き合うくらいなら嫌われた方がマシだ。
「嫌なわけ無ェだろ！」
わたしが開けた距離をすぐに詰めた轟くんがわたしの肩を掴んだ。
予想だにしなかった大きな声と強い力にちょっとびっくりしてしまう。
そんなことお構いなしと言うように轟くんは口を開く。
「慣れてねぇんだ、こういうの。……感情の表し方が分かんなくて、無意識に個性使っちまってた」
どんどん小さくなる声。
対応するみたいに赤くなる頬。
つられてわたしの体温も上がっていく。
こんなの、期待するし勘違いだってする。
絶対うまくいくから、と背中を押してくれたふたりの笑顔が脳裏に浮かんだ。
『……それって、』
心臓がさっきからずっと痛い。
必死に絞り出した細い声の続きは聞こえなかった。
「好きだ」
気付くとわたしは彼の腕の中で、必死に紡いだはずの言葉は彼の胸に全部吸い込まれていて。
代わりに、すっかり聴き慣れてしまった低音が耳を通って身体中に響いていた。
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有紀(プロフ) - 瑞穂さん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！気長にお待ちくだされば幸いです◎ (2020年4月29日 22時) (
レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 続編ありがとうございます!続き楽しみにしてます!! (2020年4月26日 13時) (レス) id: e180184c40 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - かぼさん» コメントありがとうございます！続編でもよろしくお願いします◎ (2020年4月20日 22時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 続編嬉しいです！！これからも楽しみにしてます(*´∇｀*) (2020年4月19日 23時) (レス) id: 5ac4123fb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有紀 | 作成日時：2020年4月17日 0時
